テーマは“泥臭く” 上田桃子「上に這い上がるだけ」
今週開催の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」を前に、国内賞金ランキングは76位。上位50位までに付与される来季シード権争いで瀬戸際に立たされている上田桃子が初日を「69」で回り、首位に1打差の3アンダー2位発進を決めた。
国内シード権を持たない上田の今季残り試合は、今週と次週の「樋口久子 森永製菓ウイダーレディス」2試合のみ。また、主戦場として6年目のシーズンを送る米国ツアーも同86位と来季シード圏内(上位80位)に達しておらず、残されたチャンスは繰り上げ出場を待つ11月の日米共催競技「ミズノクラシック」1試合のみとなっている。いずれも圏外で終われば、来季出場優先順位を争うQTに回らざるを得ない状況だ。
「今の私に下はない。上に這い上がるだけ」。2007年の国内賞金女王は、現在の立場をそう表現した。
シーズン終了のカウントダウンが迫りながら窮地を抜け出せない状況は、上田のプレー意識をも変えた。直近2試合の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」と「スタンレーレディス」では、好調を感じながらも18位タイ、42位タイで終了。「調子が良いのに、トップ10にも入れない。スマートなゴルフをし過ぎていたと感じた」。
グリーンを狙う前に、ラインの良し悪しまでを計算し過ぎない。テクニックにも走らない。今週を前に、これまでにあった自身の常識を捨てた。
「今週のテーマは“泥臭く”いくこと」。ピンの根本だけにターゲットを絞り、貪欲に攻めの姿勢だけを貫く。その姿勢は、プレー内容にも表れていた。この日に奪った5つのバーディのうち3つは1.5メートル圏内に絡めてのもの。「8番アイアン以下は、ピンを刺せるように。ピタッと来ると気持ちが切り替えられるし、その気持ちは今までに無かった」。前日の雨の影響で軟らかくなっていたグリーンを、積極果敢に責め立てた。
現時点で、シード圏内となる50位までとの差は約850万円。安全圏に届かせるためにも、あと1,000万円近くの上積みを求めたいところ。「トップ10に入ればいい、という状況ではない。優勝へ攻めていくことだけを考えたい」。記者会見中も、上田に笑顔はない。悪天候が予想されている残り3日間も、泥にまみれる覚悟だ。(兵庫県三木市/塚田達也)