憧れの先輩に続け! 女子開幕戦に出場する小学生
来週3月4日(金)に迫った国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」。今年は、米ツアーを主戦場とする宮里藍、宮里美香、上田桃子が揃って参戦するなど、最強メンバーが顔を揃える。このメジャー級のフィールドの中にあり、同郷の2人の宮里に憧れを抱く1人の小学生が、12歳2ヶ月という大会史上最年少で同じ舞台に立つ。
沖縄県うるまし在住の小学6年生、新垣比菜(アラカキ ヒナ)さん。自宅近隣の練習場へ取材に行くと、「宜しくお願いします」と初々しい笑顔で出迎えてくれた。おとなしく物静かな印象だが、クラブを握った途端に周囲の空気が変わる。父・博昭さん(48)の指導のもと、真剣な表情で黙々とボールを打ち込む姿は、まさしくトップアマチュアのそれだった。155センチの小柄な体が大きく見える、体全体を使ったしなやかなスイングが印象的だ。
今年1月に行われた「ダイキンオーキッドレディス」アマチュア予選会で4位に入賞し、本戦の出場権を獲得。12歳2ヶ月でのレギュラーツアー参戦は、金田久美子の11歳347日に次ぐ2番目の年少記録となった。さらに、小学生が予選会を突破したのは女子ツアー史上初という快挙だ。「最初は15位以内を目指していたんですが、まさか4位に入れるとは思っていなかったのでビックリしました」。快挙の知らせは瞬く間に広がり、その後の登校時に「“おめでとう!”って、みんなに胴上げされました」と、クラスメートから盛大な祝福を受けた。
博昭さんが練習場に勤めていたこともあり、もともとゴルフに身近な環境で育った。ゴルフを始めたのは小学2年生から。まだクラブを握りたてのころから「プロゴルファーを目指して頑張ろう」と心に決めていたという。博昭さんも「始めた時からプロゴルファーになると言っていましたね」と笑うが、その言葉からスタートした二人三脚でのゴルフ漬けの日々。4年の歳月を経て、着実にプロゴルファーへの歩みを進めている。
そんな彼女の背中を後押ししているのが、「憧れの存在」と話す宮里美香だ。アマチュア当時の06年、美香が「世界ジュニア」を制した姿をテレビで見た。「それが、ゴルフを始めた(理由の)1つでもあります」と強い憧れを抱き始め、さらに、同じ練習場を拠点としていた偶然も重なる。「練習場に行ってみると、美香選手がここで練習していたんです」。美香の父・隆さんと博昭さんが顔馴染みだったこともあり、その後も美香と会う回数は増えていった。2年ほど前にはキャディバッグにサインを書いてもらい、今も大切に使っている。「アマチュアで活躍して、アメリカでプロになってすぐに優勝できてすごい。美香選手のように、心が強くて世界で活躍できる選手になりたいです」。遥か先を行く先輩の後を追うように、今も練習に打ち込み日々が続いている。
プロツアーという初の大舞台もいよいよ来週。「最大の目標は予選を通過すること。不安だけど・・・プロと一緒にプレーができるし、自分のゴルフができるように頑張ります」と目標を口にしたが、その表情はちょっと自信なさげ。それでも、今回のチャレンジは目標とするプロゴルファーへの道に、何かしらの明かりを灯してくれるはずだ。応援に駆け付ける地元の応援団やクラスメート、そして、再会する美香の前で、胸を張って堂々としたプレーを見せて欲しい。