「成績に関しては20点か30点」 【有村智恵インタビュー vol.1/国内ツアー前半戦を振り返る】
<掲げた目標は“賞金女王”&“海外メジャー制覇”>
2009年シーズンは5勝を挙げ、最終戦まで賞金女王を争う飛躍を遂げた有村智恵。ツアーでもトップクラスの実力と人気を兼ね備えた選手へと成長し、高い期待を背負う中で2010年シーズンを迎えた。自らを鼓舞し、覚悟を固める想いもあったのだろう。新シーズンに向けた目標を「賞金女王と、海外メジャー制覇」という、さらなる高みに設定。つまりは、日本と世界の舞台で頂点に立つことだ。
昨年の「全英リコー女子オープン」で予選落ちを喫した反省から、オフの練習は「基本的なことではなく、プラスアルファを重点的に」と、方向性を1つに絞った。「風が強いと成績が悪いと感じた。いろいろなボールが打てて、アプローチのバリエーションを増やすために練習した」。オフのトレーニングは、1年を戦い抜く身体とフィーリングを磨き上げる大切な時期。成果の如何によっては、シーズンの結果を大きく左右する可能性もはらんでいる。より高いフィールドで戦うことを見据え、有村が決断したオフの方向性。それは、有村の中でシーズン序盤から思わぬ違和感を生むことになった。
<さらなる高みへの準備が生んだ、思わぬ弊害>
開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」は2位タイと絶好の滑り出し。だが、成績とは裏腹に「納得のできる内容ではなかった」と振り返る。「オフに低いボールやコントロールショットに時間を費やしてきたので、逆に基本的なスイングの調子が良くなかった」。この感覚のズレは、この後も有村の中でくすぶり続けることになる。続く第2戦「ヨコハマタイヤPRGRレディスカップ」では、「ショットは良かったが、パットが噛み合わなかった」と予選落ち。第4戦の「スタジオアリス女子オープン」では優勝を飾ったが、有村の口からは心から喜ぶ声が聞こえてこない。「あの時も、ベストな状態では無かった」。
「去年までの優勝とは違い接戦を制してのものだったので、ゴルフ自体がうまくなった、強くなったとは実感した大会。でも、調子は良くなかったし、ごまかしながらのラウンドだった。上位には日本人選手が私しかいなかったという、モチベーションだけで優勝できたと思う」。早々のシーズン初勝利も、有村の心に安らぎを与えるに至らなかった。5月の国内メジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」では、ショットの精度を乱して予選落ち。「優勝した後も、ショットに関しては自分の持ったイメージと球筋が違うまま、試行錯誤が続いた。この状態を、どう良い風にもっていくか悩みながらのラウンドが続き、それがサロンパスで出てしまったと思う」。
<成績に関しては、20点か30点>
前半戦最後の15試合目「スタンレーレディス」を終えても、プレー全体への微妙なフィーリングのズレは解消されなかった。前半戦の成績は、トップ10入りが8回、優勝は1回のみ。「全てに関して、納得がいく状態ではなかった。全力でやってはいるんだけど、ベストパフォーマンスができない。毎週毎週、噛み合わないと言いながら時間が過ぎただけの時期だった。成績に関しては、20点か30点」。不本意なラウンドが続いた前半戦に対し、極めて厳しい自己評価を下した。その一方で、開幕前に掲げた目標に向けて国内ツアーを欠場することなく、海外メジャー3試合を戦い抜いたことに関しては一定の評価。「賞金女王を目指すと言ったことで1円でも多く稼ぎたいというのがあって、試合を休む判断はできなかった。その中でベストを尽くしてやってきた方向性には、80点ぐらい評価してもいいと思う」。
<ウイダーによる栄養管理サポートが開始>
渡米と帰国を繰り返す多忙なスケジュールを支えた1つの要因に、契約を交わす森永製菓の『ウイダー』ブランドが提唱する、スポーツ栄養理論に基づくサポートプロジェクトへの参加が挙げられるだろう。今年4月より、ウイダーの専門スタッフが栄養管理を全面的にサポート。同月開催の「フジサンケイレディスクラシック」からスタッフが同行し、食事の調理やプレー中の栄養補給のアドバイス等を行っている。「食事面もそうだけど、試合が終わった後にプロテインを飲んだり、身体への負担が少なくなるサポートをしていただいている。スケジュールがハードだったけど、プレーに影響なく過ごすことができたし、すごく助かっています」と、その効果を実感していた。