プロ7年目の初優勝へ 臼井麗香はオリジナルブランドもプロデュース
◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 2日目(23日)◇UMKCC(宮崎)◇6545yd(パー72)◇曇り(観衆3715人)
颯爽というより華麗に。臼井麗香はボギーなしの「66」で通算13アンダーまでスコアを伸ばし、単独首位で最終18番をパーで締めくくった。プロ7年目、1998年度生まれの黄金世代の一人として、ツアー初優勝に王手をかけた訳だが、彼女はプロゴルファー以外の“顔”も持っている。
ゴルフウェア、雑貨のオリジナルブランド「Chell classy」のプロデューサー。きっかけはコロナ禍だった。「試合がなくて、気持ちも病んでしまって。プロゴルファーってスポンサーあってのものじゃないですか?でも、スポンサーがいなくなったら、私には何もない、何の能力もない、何もできないと思えて」
自分にできるものを探した。子供の頃の夢は「タカラジェンヌ」だった。クラシックバレエ、ミュージカル、ジャズダンス、ボイストレーニングなど、キラキラした世界に飛び込みたくて、3歳から13歳ぐらいまで真剣に目指した。「プロゴルファーになるなんて、考えもしなかった」
「Chell classy」は、中学2年から呼ばれている愛称「レイチェル」と、臼井が宝塚歌劇団への憧れからインスパイアされ「上品っていう意味」と説明する言葉「クラッシー」を組み合わせた造語だという。
しかし、本業はあくまでゴルフ。「他の人(プロゴルファー)が映画やゲームをしますよね。私はその時間に好きなデザインをして、服を作る感じ。趣味ですよね」。ただ、その趣味がコースでの自分のキャディバッグ、ウェアになるのだから、それは“本物”だ。4月13日には自らも出席する初イベント開催(そごう横浜店)も決まっている。
この日は飛ばし屋の小林夢果にドライバーショットで40、50yd離されても、得意のショートゲームでスコアを作った。パッティングスタイルは独特で、両脚をほぼくっつけ、極端にアップライトなアドレスからチャンスを決め、要所で微妙なパーをセーブした。
「以前は普通のアドレスだったんですけど、自分がやりやすい形を求めて今のスタイルになった」。誰かの真似をしたわけじゃない。2017年のプロテストに失敗後、試行錯誤して肩幅ぐらいあったスタンス幅を狭めた。
アマチュア時代の10試合を含めてツアー通算133試合目。初めて首位で迎える最終日。1打差2位には山下美夢有がいるが、そこは頭にない。「優勝したいです。人のスコアは変えられないから、自分のゴルフをしたいです」。ブランドもゴルフスタイルも“臼井麗香”というオリジナルで勝負をかける。(宮崎市/加藤裕一)