プロ10年目で初の長尺パター 堀琴音が今季ベスト「67」
◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 初日(20日)◇ザ・クイーンズヒルGC(福岡)◇6540yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆1312人)
最後のバーディは15番。7mのスライスラインを沈めて、堀琴音が笑顔を見せた。「すごく切れるラインでした。本日のベストパット賞です」と口調も軽い。使い始めて3試合目、プロ10年目で初めて手にした長尺パターが、ようやくなじんできた。
今季ツアー前半戦は17試合に出場し、予選落ち9回で棄権1回。ポイント争いのメルセデスランキングは78位と低迷し、「ニッポンハムレディス」でツアー初優勝を飾った2020-21年シーズンに返り咲いたシードを喪失する危機にいる。
不調はパットから始まった。オーソドックスな順手からクロスハンドを経て、数年前に始めて安定していたクローグリップがおかしくなった。3試合連続予選落ちで迎えた6月下旬「アース・モンダミンカップ」の練習日、切羽詰まって相談したのが長尺使いの原江里菜。「使ってみたら、いいんじゃない?」。先輩プロの助言で、原と全く同じスペックの長尺パターを発注し、藁(わら)にもすがる思いでぶっつけ投入。初日の「78」が響いて予選落ちしたが、2日目は「68」だった。
プロ10年目で初めての長尺パターに「抵抗はありました。でも、流れを変えたかったというのがまずあって」。使ってみると、短めの距離で真っすぐ球を出しやすい。「いけるかも、と思いました。まだ慣れていないし、アドレスのポジションとかが難しいんですが」。翌週の「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」は5試合ぶりに予選通過(64位)。確かに流れが変わった。
今季唯一のオープンウィークを経て、再開したツアー。出場34戦で予選通過5回だけ、賞金ランク114位と大不調に陥り、シード落ちした2018年シーズン当時を振り返り「5年前は今ぐらいの時期に“もう無理”と思ったけど、今はそういう感じはないです」。語り口は力強い。パットの不調から“伝染”したショットの不調も回復傾向にある。
今季自己ベストに並ぶ「67」を出し、首位と2打差の7位発進。「今日はむしろショットが良くなってきたのが大きいです」。V字回復気配を漂わせ、堀の後半戦が始まった。(福岡県糸島市/加藤裕一)