2022年 スタンレーレディスホンダ

「河本力のお姉ちゃん」 発奮材料は“きょうだいバランス”の変化

2022/10/07 15:20
河本結は1アンダーの暫定5位でプレーを翌日に持ち越した

◇国内女子◇スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント 初日(7日)◇東名CC(静岡)◇6570yd(パー72)

次のホールへの道すがら、男性ファンの何気ないひと言を河本結は聞き逃さなかった。「河本力のお姉ちゃんらしいよ」――。国内メジャー「日本女子オープン」が行われた前週、弟は「バンテリン東海クラシック」でツアー2勝目をマーク。姉としては「成長している姿を見られて、リスペクトする部分もあると感じられたのはうれしかった」と思った半面、「ヤバいな」と心はざわついた。

世間で知られるきょうだいのバランスに変化が生まれていることを知っている。かつての「河本結の弟」が男子ツアーで若手の中心的存在になりつつある一方、自分は来季の出場権を争うのに必死な身(メルセデスランキング68位)。「弟の“サブ”みたいにならないようにしないと」と口元を引き締める。

昨年春に米女子ツアーから撤退。学生時代に描いた「25歳でアメリカに挑戦する」という目論見は、プロ転向直後の活躍で実現が早まった。2019年末、21歳にして予選会を通過して渡米。いま振り返れば、「目標設定をラッキーで早めてしまった」ことが、海の向こうで低調に終わった要因のひとつだったという。

「筋道を立てないといけない。早まった決断は(いずれ)遠回りになるから避けたほうが良い。戦える準備をしてから行くべき」。将来の海外挑戦を志す弟に伝える経験談には血が通っている。

「悔しい結果になったけれど良い経験」。今はスイングをイチから見直して復調を目指す最中。「とにかくシードを取る。優勝争いができるイメージが湧いてきた。そのうれしさもある。そこに行けるように一打に貪欲になってプレーしていきたい」。姉だってまだ24歳。青写真はまた新しく描ける。(静岡県裾野市/桂川洋一)

2022年 スタンレーレディスホンダ