「頭がパンクしそう!」 16歳アマ上田澪空がドキドキの職場体験
◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城 最終日(3日)◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6590yd(パー72)
「ちょっと、職場体験みたいな感じで」。そんなつもりでやって来たプロの試合だったが、数カ月前には「職場体験」という言葉は口にできなかったかもしれない。
2日目にコースレコードタイの「64」をマークして、一気に注目の的となった上田澪空(うえた・みく/東京・共立女子第二高)。プロの試合はこれが2度目、大勢の観客とカメラに囲まれた決勝ラウンドは緊張で震えが止まらなかった。
それでも上位にしがみつき、雨が降りつづいた最終日も4バーディ、4ボギーのパープレー。「1カ月くらい、経ったみたい」と長い1週間を終えての通算4アンダー単独5位は、想像すらしていない成績だった。
なかなか自分に自信が持てず、ジュニアの試合でも緊張しっぱなし。やっと自信を持てるようになってきたのはここ数カ月のことだった。「ナショナルチームにも選んでいただいて自信もついてきた。逃げるんじゃなくて、コースと真っ向勝負でいこうという気持ちになれました」
はじめてプロツアーに挑戦した昨年10月「日本女子オープン」は予選落ち。そこからアマチュアの国際試合を経験し、ナショナルチームで本格的なマネジメントも学び始めた。この半年でコースとの向き合い方も、ほかの選手のプレーの見方もガラリと変わった。
「自分はUTくらいの番手になるとピンを狙わないけど、一緒に回ったプロの選手は厳しいところからも狙っている。濡れたバンカーからの練習も足りないし、走り込みもやらないと。4日間プレーして、こんなに大変だとは思っていませんでした」。怒涛の4日間を終えて疲れ切った身体とは対照的に、次々に頭に浮かぶのは、この「職場」で生き残るには何が必要か。
「もう吸収することが多くて、頭がパンクしそう!」と無邪気に笑う16歳。その心の中には、プロとして戦う自信が芽生えはじめている。(静岡県袋井市/谷口愛純)