2021年 ツアー選手権リコーカップ

三ヶ島かな「まぐれじゃない優勝」最終戦でつかんだメジャー初V

2021/11/29 07:52
16番でチップインを決めた瞬間。何度も握った拳を振って喜びをあらわにした

◇国内女子メジャー◇JLPGAツアー選手権リコーカップ 最終日(28日)◇宮崎CC(宮崎県)◇6543yd(パー72)

さらなる重圧がかかる終盤に差し掛かると自身の手が震えていたことに気が付いた。5年前にプロに転向してから優勝争いも経験してきた三ヶ島かな。これまでにつかめずに来た優勝が間近に迫っていることでその体が勝手に反応した。「『まだできるぞ』と鼓舞していった」気持ちが空回りしてボギーもたたいたが、最終的に4バーディ、2ボギーの「70」で終えて通算11アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝をメジャータイトルで飾った。

「若い子たちの活躍が目立って、もう駄目なのかなと思う瞬間もあるんですけど、優勝者ばかりが出ている試合でまぐれじゃない優勝ができたということがうれしい」。プレーを終えてクラブハウスに戻る途中に待ち構えていた野澤真央大里桃子に祝福されると、涙がこぼれた。

2017年「アース・モンダミンカップ」では鈴木愛に競り負け、18年の「樋口久子 三菱電機レディス」では最終日に首位から陥落して3位。19年の「富士通レディース」は単独首位で出てアマチュアの古江彩佳に優勝をさらわれて打ちひしがれた。応援してくれるスポンサーが増える一方で思うような成績が出せないことに「ゴルフをやっていていいのかという気持ちの方が強くなっちゃっていました」と意気消沈したことも。

青木翔コーチ(左)も最終日に急きょかけつけ、教え子の勝利に喜んだ

父・直さんをコーチとしてゴルフに取り組んできていたが、19年の最終戦が終わったタイミングで当時渋野日向子のコーチをしていた青木翔氏に指導を依頼。カット軌道に入って手首で無理にドローにしていたスイングを修正して、手首を使わないようにしてフェードに変えた。

18番のグリーンに上がると、内緒で訪れていた直さんの姿を発見し、「自分の成長のためだと思って一回(父親から)離れたんですけど、離れたおかげで、お父さんが見守ってくれたおかげで勝てたと思うので、申し訳ない気持ちはあるんですけど目の前で見せられたのは良かったです」と感謝の思いを打ち明けた。

今大会で初優勝を遂げたのは1996年の井上陽子以来、史上2人目。メジャーの舞台で初Vを飾ったことに「鈴木愛さんが初優勝をメジャーだったと聞いて、私も愛さんみたいに強く、もっと上位争いをしてみんなことを沸かせられるようになれたら」と思い描いた。

「スイング改造から始まってバタバタした目まぐるしかったんですけど、本当に一瞬であっという間で、学ぶべき2年だったなと思います。まだまだ下積みはこれからだと思うので、この2年間を大切にしてこれからもゴルフ人生頑張って行こうと思います」。つらくても続けてきたからこそつかんだ勝利となった。(宮崎県宮崎市/石井操)

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