ツアー開幕に喜びと不安 上田桃子「ひとつのスタートをきっかけに次に進める」
1年前の今週、「ヨネックスレディス」を制した上田桃子が3日、ディフェンディングチャンピオンとして日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のリモート会見に出席した。同日、JLPGAから3週間後の「アース・モンダミンカップ」開催が発表され、「率直に嬉しいです。こういう状況で開催するという決断は簡単なことじゃなかったと思う。ひとつの大会をきっかけに開催できる大会が増えていってほしい」と、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今シーズン初戦となる大会開催の喜びを語った。
とはいえ、困難な状況はまだ続いている。「人が集まるということはリスクがあるし、自分も含めて不安はある。どれだけ一人一人が自覚を持って、検温や体調管理を共有して、ひとつの大会をスタートできるか」と、リスクを自覚しながら、感染予防に努めるつもりだ。「ひとつのスタートをきっかけに、次、次と進んでいける。(再開した)韓国女子ツアーが私たちにとって指標になっていると思うので、この大会もひとつの指標になればいい」と、まずは無事に大会を終えることが、先につながることを強調した。
国内開幕戦が中止になって以降は、宮崎で入念な調整を続けていたが、3月末には地元・熊本に戻って調整ペースを緩めたという。「毎週トーナメントを戦うのが、この15年くらいの日常だったけど、いまは家族と一緒にテレビを見たり、ご飯を食べたりすることが日常になった。この生活も満喫しているけど、ワクワクしたり、ドキドキしたりすることがほとんどない。試合の楽しみはそこで戦える選手だけのものだし、それを届けていけるのは幸せだと思った。改めて、試合が好きなんだなって感じています」。再開後、試合への渇望をプレーで思いっきり発散するつもりだ。
再開初戦を含め、しばらくは無観客での開催が見込まれている。「やっぱり、たくさんの人の声援や、現場で作る一体感が、奇跡的なワンショットを生んだりする。以前、無観客でやったときは、試合という感覚じゃなくて、寂しいなっていうのが率直な気持ちだった。でも、テレビ(やインターネット)中継が入るので、早くゴルフを見たいファンには届けられるという意識を忘れずにプレーすれば、そういうショットが生まれるのかなって。女子ゴルフより早く始まるプロ野球や他のスポーツを見て、どういう心の準備をしてプレーしたらいいのか勉強したい」と、他競技も参考にしながら再スタートに備えていく。(編集部・今岡涼太)