笹原優美 今年初戦を台湾でスタート 中国ツアーは2季目の参戦/女子ゴルファーの新たなサバイバル その(4)
「“元単年(登録者)”だった選手同士で団結しよう、というのは少しあるのかな」。昨年、7回目のプロテストに挑戦して失敗、ツアー出場優先順を決める予選会(QT)に出場できなかった27歳の笹原優美がそう口にしたのは昨年12月、東京・新宿で行われた契約ウェアのイベント後のことだった。
初受験の2011年は1次予選、12年は2次予選どまり。13年から4回連続(16、17年は出場せず)で最終テストに進んだが、いずれも最後の厚い壁にはね返された。最も合格に近づいたのは5回目の15年で、合格ラインの20位タイまで2打届かず。昨年は、最終テストへの進出ラインに10打届かず、2次で敗退。「飛距離が足りない。飛距離が上がらなかったら、もう(合格は)ムリくらいに思っています」と痛感した。
これまで単年登録で出場してきた国内ツアーの道は断たれた。それでも、笹原はなんとか行き場を確保していた。18年末の国内ツアーQT(予選会)で失敗したのを機に、昨年は中国ツアーに参戦。7試合に出場して賞金ランキング60位(獲得賞金37154元=約58万円)に入り、同80位までが得られる今年のシード権を得た。さらに昨年11月に挑戦した台湾ツアーのQTも通過し、今年は2つのツアーを主戦場にする。
初めての中国ツアーでは、自分と同じく、他国からプレーの場を求める選手がたくさんいたことに驚いた。「台湾、タイ、ニュージーランド、オーストラリアの選手もいて。世界中のプロが自国を離れて、戦う場所を求めて来ていると考えたら…すごくかっこいいと思った。そこで戦えることが嬉しいと思えた」
中国ツアーの1大会の賞金総額は、他団体との共催を除けば、50万元(780万円)、80万元(約1250万円)が主流。台湾ツアーは同様に800万台湾ドル(約2900万円)や1000万台湾ドル(約3600万円)が主だ。「台湾と中国ツアーで優勝したい。そこですね。“勝つぞ!”と思っています」。賞金は二の次で目指すのは頂点。「中国と台湾で勝てないようなら、日本のプロテストは通れないと思う。そのレベルに上げるためにも優勝は目標として必要」とターゲットは明確だ。
日本勢12人がQTを突破した台湾ツアー初戦「日立レディスクラシック」は19日に閉幕し、笹原は20位で終えた。中国ツアーは2月28日開幕の「EFG香港レディースオープン」でスタートする。(編集部・塚田達也)
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2019年、多くの女子ゴルファーにとって職場を失いかねない荒波が押し寄せた。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のツアー出場優先順を決める予選会(QT)に出場するには、プロテスト合格などで得られる「正会員」の資格が必要になったためだ。それまではプロテストに通らなくても、QTで上位に入れば単年登録でプレーできたが、制度改定でスタートラインにすら立てなかった。そんな選手の行き場はどこにあり、何を目指すのか。「女子ゴルファーの新たなサバイバル」を随時伝える。