2019年 日本ツアー選手権森ビル杯

「未来に夢を持って」 堀川未来夢が5年目で実現した初タイトル

2019/06/09 20:44
初優勝を日本タイトルで飾った堀川未来夢(右)。清水キャディと喜びを分かち合った

◇国内メジャー◇日本ツアー選手権森ビル杯 最終日(9日)◇宍戸ヒルズカントリークラブ(茨城県)◇7387yd(パー71)

4打リードで迎えた最終18番。2打目をグリーン近くまで運んだところで、清水重憲キャディに握手を求められた。「もう大丈夫だろう。初めてそう思った」。26歳の堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)が、同学年で最大のライバルである2位の今平周吾を4打差で振り切り、ツアー初優勝を日本タイトルで飾った。

昨季は11月「ダンロップフェニックス」、2週後の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」でいずれも首位で最終日を迎えながら、惜しくも初タイトルを逃した。悔しさを残したまま迎えたオフでは、下半身の強化とアプローチ、ロングパットの練習に注力。今平も「ショートゲームが上手くなった」と認め、持ち前の粘り強いゴルフに磨きをかけた。

スイングも下半身主導への意識を強め、1Wについて堀川は「去年に比べて15ydは伸びた」と飛距離アップにも成功。難度の高いメジャーセッティングで、4日間トップを守る完全優勝に結びつけた。

飛距離は年々アップしているとはいえ、いわゆる“飛ばし屋”たちからは遠く離れている。今季の平均飛距離は281.5ydで全体80位に甘んじており、ロングゲームではハンデを負う。最終日でも今平に15yd以上離されることもあった。しかし、生命線は「誰にも負けないくらいの自信がある」というパッティングだ。今週の平均パット数でも1位を記録し、メジャーセッティングでの安定したプレーに貢献した。

初優勝を祝福される堀川未来夢(左)

中でも、グリーンのライン読みには絶対の自信を持つ。「自分の長所を挙げるとすればライン読みくらい。それだけは、ほぼ外さない。キャディ向きです」。学生時代にシニアツアーのキャディを務めた際には、担当した三好隆から「翌年に再び指名が入ったほどです」と笑った。

父が名付けた『未来夢』の由来については、「詳しくは聞いていないけど、“未来に夢を持ってほしい”というような気持ちで付けたと思う」と説明。ツアー初優勝という最初の夢をプロ5年目で実現してみせた。

次週には海外メジャー初挑戦となる「全米オープン」(カリフォルニア州・ペブルビーチGL)を控え、今週で「全英オープン」の出場権(有資格者を除く賞金ランキング1位)も得た。かねてから海外ツアー進出を胸に抱いてきた26歳の夢は、ますます広がるばかりだ。(茨城県笠間市/塚田達也)

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