ツアー初V 29歳大槻智春の“変わらぬ信念”
◇国内男子◇関西オープンゴルフ選手権競技 最終日(26日)◇KOMAカントリークラブ(奈良県)◇7043yd(パー72)
29歳の大槻智春が通算19アンダーで首位に並んだ星野陸也とのプレーオフを制し、プロ10年目にして初優勝を飾った。18番で行われた4ホール目に3mのバーディパットを沈めて決着をつけ、長く厳しかった表情を笑顔に変えた。
父・隆さんの指導で7歳からゴルフをはじめ、日大中退(2年)を経て2010年にプロ転向。以降は下部ツアーを転戦するシーズンが続いたが、同ツアーで賞金王になった17年が転機となる。「自信になったし、ある程度のプライドは持ってもいいのかなと思った」と、レギュラーツアーに初昇格した翌18年に初シードを獲得。参戦2年目で初タイトルをつかんだが、「転向してすぐに活躍できると思ったので、長かったと思う」とこの10年間を振り返った。
近年の急成長については、「特に変えたことは何もない」と思い当たる変化はない。それでも、ひとつの信念を貫いたことが初優勝に結びついた自負はある。「昔からのスイングが駄目だから変えるのではなく、やり続けることが大事。何かひとつのことをやり続けることが、強さと自信につながると思う」
大きなスイング改造をすることもなく、少しずつ精度を高めていった「曲がらないティショット」が持ち味。プレーオフはワンオンが狙える打ち下ろしの18番(334yd)で行われ、飛距離では星野に劣るものの「陸也は飛ぶけど、僕は曲がらない」と強い気持ちで臨んだ。
3ホール目までパーで分け、迎えた4ホール目。グリーン左バンカーから30ydのバンカーショットを3mにつけ、これをねじ込みガッツポーズをつくった。「大槻さんはずっと安定していたので、プレーオフになって“嫌だなあ”と思っていた」と飛距離のアドバンテージを自覚していた星野も脱帽だった。
優勝を意識しすぎてプレーを乱した昨季の反省を踏まえ、今季は首位争いに身を置いても「30位以内」を目指してきた。初優勝を飾っても、その目標を変えることはない。「コンスタントに稼いでいけばチャンスは増える。30以内に入り続ければ、最後に賞金ランキングで上にいられると思う」。“変わらない男”を強くした信念は、常に揺るがない。(奈良県奈良市/塚田達也)