2018年 東建ホームメイトカップ

熊本地震から2年 永野竜太郎は上位争いで故郷に勇気

2018/04/14 08:03
熊本出身の永野竜太郎。8位タイで決勝ラウンドに進んだ

◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 2日目(13日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7081yd(パー71)

ツアー初勝利が期待される永野竜太郎が強風の中を「70」でまとめ、通算3アンダーの8位タイで予選ラウンドを通過した。2年前の4月14日に震災で甚大な被害を受けた熊本県益城町出身。故郷への思いを胸に秘めて上位で週末に進出した。

神がかり的なショットが生まれたのは前半8番。左ドッグレッグのパー4で、1Wショットを右サイドのバンカーに入れた永野は、残り183ydの第2打で5Iを振り抜いた。「ちょっと右に出たかなと思った」というボールはグリーン右サイドのマウンドを伝ってカップイン。鮮やかなイーグルを決め、笑顔で天に手を掲げた。

今大会はキャディにかつて丸山茂樹宮里優作らとコンビを組んだ杉澤伸章さんをスポット起用。絶好調とは言えない中でも丁寧にプレーしてスコアメークしている。最終18番で2m弱のパーパットを外したが「打ったところは完ぺきでしたよ。でもこの風の中、ラッキーもあったけれど、全体的には良かったんじゃないですかね」と感触をかみしめた。

2016年のこの大会。永野はトーナメント期間中に突如として“主役”のひとりになった。初日のラウンドを終えた夜、中学卒業まで育った家のそばが“震源地”になった。あの日を忘れられるはずがない。「もちろん頭にはあります」と目を伏せる。

熊本出身選手として、この2年は同い年の重永亜斗夢とともにツアーを通じた復興活動に参加してきた。熊本県のまとめによると、いまだ約3万8000人が仮設住宅などで避難生活を強いられている(3月末時点)。「(復興は)まだまだ、今からなんです。がれきの撤去などの整理がやっとできて、これからすべてが始まる。益城町に続く道も片側一車線だったところを拡張するらしい。これから動き出す感じなんです」と強調した。

ただ、「みんな暗くはないです」と未来はきっと明るいと信じている。連戦の合間に熊本市内の自宅に戻り、出向いた近隣のゴルフ場では「ジュニアもゴルフ場で会うけれど、みんな元気です」と感じることができる。週末の中部地方の天候は崩れる予定だが、それに動じる様子もない。「初日、2日目と変わらないですよ。いつもとも変わらない」と静かに意気込んだ。(三重県桑名市/桂川洋一)

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