半年間の営業経験アリ 松山英樹の同級生が8位で初の予選通過
◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 2日目(13日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7081yd(パー71)
夕日が沈みかけ、冷たい風が吹き抜ける午後6時15分過ぎ。寒々しく映る半袖ウェア姿の26歳・田村光正が、ツアーで初めての予選通過を決めた。「寒かったけど、気持ちは前に進んでいたから」。2日目は1バーディ、1ボギーと耐え切って通算3アンダーの8位タイ。「素直にうれしい気持ちでいっぱいです」と、充実感に浸った。
ゴルフの名門・東北福祉大出身で、米国ツアーで活躍する松山英樹とは同学年だ。松山がキャプテンだった4年生時には副キャプテンを務め、チームの主力メンバーとして活躍した。「彼の頑張る姿を4年間、近くで見られたのは良かったと思います」と当時を回顧する。
2011年には松山とともにナショナルチームに選ばれ、将来を嘱望された。しかし、大学4年時に初挑戦したQTをサード(三次試験)で落ちて挫折を味わった。「クラブを置いて、違うことをやってみよう」。卒業後は出身の兵庫県内にあるベルト会社に就職し、営業マンとして多忙な日々を過ごした。
未練は捨てたつもりだったが、ゴルフから離れたことで「本当にゴルフが好きなんだな、と気づかされた」という。オフィスでパソコンを開けば、つい見てしまうのは男子ツアーのスコア速報。先輩や同期の活躍が、まぶしく映った。
「やっぱり、オレもゴルフがやりたい」。会社を半年で退職し、2015年に再挑戦したQTでファイナル(最終試験)まで進出。ツアー出場への足掛かりを築くと、17年のファイナルQTで21位に入り、今季前半戦の出場権を手にした。このオフは初めてパーソナルトレーナーを付け、体力強化と体のケアに注力。しっかりと準備を整えて臨んだ今季2試合目、ツアー通算4試合目で初めての予選通過を上位で決めた。
一時はゴルフから身を引いた半年間を、決して遠回りとは思っていない。「逆に“やっぱりゴルフなんだな”という、はっきりとした決意が生まれた。やめて良かったと思っています」。いまでは遠い米国で戦う同期に対する意識も、3年前とは異なる。「憧れと言ってはいけないプライドもある。追い越していきたい」と、自らに誓った。(愛知県桑名市/塚田達也)