初優勝の小鯛竜也 石川遼との出会いに感謝
◇国内男子◇マイナビABC選手権 最終日(29日)◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217yd(パー72)
台風22号の接近に伴う荒天により、午前10時17分に中止が決定。集中力を保つため陣取っていたロッカールームで朗報を聞いた。第3ラウンド終了時点で通算13アンダーの単独首位にいた小鯛竜也がツアー初優勝を手にし、「素直にホッとしました」と表情を緩めた。
海外ツアー進出の大志を抱き、17歳でプロ転向。それでも成績が伴わずツアー出場すらできない苦しい時期が長く続いた。「これだけ練習しているのに、なんでだろう」。気持ちが腐りかけたときもあったが、「いま思えば、まだ甘い部分があった」と当時を回顧する。支えになったのは、学生時代から師事する谷川健コーチ、スポンサー、そして4年前に結婚した夫人と2人の子供たち。「人との出会いとつながりが大きかった。感謝しています」と、何回も繰り返した。
燻っていた小鯛を変える転機になったのが、現在は同じマネジメント事務所に属する石川遼との出会いだ。共通のプロを通じて、石川が恒例としている年末の沖縄合宿に3年前から参加。合宿では2週間ほど練習や食事をともにし、「練習量のすごさや、取り組む姿勢が自分とはくらべものにならない。考えていることも、すごく勉強になった」という。
3年前は長女の仁望(にな)ちゃんが生まれた年。「そのときに“稼がないと”っていう気持ちになったと思う。ちょうど試合(下部ツアー)に出られるようになったのも3年前だし、一番のきっかけは子供かもしれません」。優勝の記念撮影では、その仁望ちゃんを腕に抱いて写真に納まった。
青木功JGTO会長は「スター性もある。このゴルフ界を引っ張っていく一人として応援したい」と27歳に期待を寄せる。小鯛も「この1勝を機に2勝、3勝できる選手になっていきたい」とさらなる飛躍を誓い、端正なマスクを引き締めた。(兵庫県加東市/塚田達也)