2017年 マイナビABC選手権

父に最高の恩返しを 小鯛竜也が初優勝に前進

2017/10/28 17:56
単独首位に浮上して最終日へ。初優勝に前進した小鯛竜也

◇国内男子◇マイナビABC選手権 3日目(28日)◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217yd(パー72)

2位スタートの小鯛竜也が5バーディ、2ボギーの「69」とし、後続に1打差をつける通算13アンダーの単独首位に浮上。ツアー未勝利の27歳がタイトルに前進し、「しっかりと自分のゴルフができればチャンスがあると思う」と悪天候が予想される最終日の戦いを見据えた。

今週の会場は、大阪府出身の小鯛にとってジュニア当時から知る馴染み深いコース。「パットのタッチが合っている」と名物の高速グリーンを攻略し、今週の平均パット数(1.6429)はフィールド2位を記録する。ポイントは「しっかり打つ中でラインに乗せる」こと。今週を前に、アドレス時のボール位置を体から少し離した調整も奏功したという。

27歳の若さながら今年でプロ10年目。17歳でプロの世界に飛び込んだが、レギュラーツアー初出場まで4年の歳月を費やした。今季は2016年の下部チャレンジツアー賞金ランク上位の資格により出場権をつかみ、まずは初シードを目指してシーズンを戦ってきた。

ゴルフ好きの父・剛文さん(62)の影響で5歳からクラブを握った。小学生時はガレージに父が作ったネットを張った練習スペースでボールを打ち続けた。プロ入り後は剛文さんがキャディを務めてきたが、「父親の年齢もあるし、ずっと頼っているわけにはいかない」と今年のはじめから独り立ちし、現在はプロキャディとタッグを組んでいる。父は今週、ロープの外から息子に声援を送っている。

自宅の「鳥かご」(1人分を囲う練習ネットの通称)から巣立ち、下積み時代を経てトッププロへの道を進みつつある。地元で飾るプロ初優勝となれば、成長を見守ってきた父へ何よりの恩返しになる。(兵庫県加東市/塚田達也)

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