初日のOKパット外しが導いた5年ぶりV 久保谷健一「帰らなくてよかった」
◇国内男子&アジア共同主管◇パナソニックオープン選手権 最終日(23日)◇千葉カントリークラブ梅郷コース(千葉)◇7130yd(パー71)
偶然のように見えて、やはり必然だったのか。最終組が出る約1時間半前にティオフした久保谷健一が、7バーディノーボギーの「64」で回って通算11アンダーとし、宮本勝昌とのプレーオフの末に逆転優勝。最後もティショットをOBとした宮本に助けられる形となり、「前回勝ったとき(2012年日本オープン)もパグンサンが崩れて勝ったし、実感が湧かないというか喜べない」と敗者を気づかい、「帰らなくてよかった」と控え目に安堵した。
“パット・イズ・マネー”を地で行った。前半9ホールはすべて1パットの4バーディ。11番で15m、最終18番は奧から4mを沈めるなど、後半もグリーン上が冴え渡り、「人生で3本の指に入るぐらいパットが良かった」という。一方で、「ショットは見ていられない」と自虐的だが…。
大会初日、スタートホールの10番をバーディで出た後に、続く11番はOKパットをタップインしようとしてミスをした。「片足で“お先”ってしようとしたら、ペロっと外して。何やっているんだ…。俺ってこういう男だなぁ」と、ぼやきから始まった4日間。だが、今回は何かが違った。
今年は2012年の「日本オープン」優勝で得た5年シードの最後の年。97年に初優勝を含む2勝を挙げたときも、複数年シード最後の2000年に賞金シードに滑り込んだ。今年は国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で5年ぶりに予選を通った。「今年は何かあるかもというのはあった」というかすかな希望が、大会開幕早々の悪い流れを食い止めた。「普段は、そんなイージーミスをしたら、どんどん流れが悪くなっていくけど、“しょうがない。こういうこともある”ってガマンした。その初日が生きていますね」。
ツアー通算7勝目。45歳になったベテランには勝利に対する自分なりの哲学がある。「結局、スコアが一番良ければいいだけの話であって、人と戦っているわけじゃない。自分がやれることをやって、結果どうだったかって。僕はそれで満足です。見ている人は白熱した優勝争いを見たいのかもしれないけど、僕はそういうタイプじゃないから。“周りを見ない作戦”成功です(笑)」。
味のあるベテランが、2019年まで続くシード権を手中にした。今後の戦い方のヒントも、見えつつあるのが収穫だ。「ショットを修正するよりも、やっと狙えるというレベルに近付いて来たパットを維持する方が正解だと思っている」。ぼやきながらも、わが道を進んでいく。(千葉県野田市/今岡涼太)