プレーオフ負けのソン・ヨンハン 失意の涙にも気遣い忘れず
◇国内男子◇HONMA TOURWORLD CUP AT TROPHIA GOLF 最終日(10日)◇石岡ゴルフ倶楽部(茨城)◇7071yd(パー71)
ロッカールームから出てきたソン・ヨンハン(韓国)の目はすでに赤く、涙をためながらインタビューに臨んだ。池田勇太に2日にわたる9ホールに及ぶプレーオフで敗戦を喫し、今季2勝目のチャンスを逃したソンは言葉につまり、声を押し殺すようにして涙を流した。「悔しい…(長かった)試合が終わってすっきりしているし…頑張ったと思う。でも、心残りがないとは言えない」。
日没順延により翌月曜日に持ち越されたプレーオフ決戦。池田とともに81ホールを戦い抜いた。プレーオフトータル5ホール目(この日の1ホール目)は、右サイドラフからの第2打をグリーン手前のバンカーに入れたが、ピンそば60cmに寄せてパーを拾い、ピンチを早々にしのいだ。
迎えたトータル7ホール目(この日の3ホール目)。フェアウェイからの第2打をピンそば2mにつけて勝利を引き寄せるチャンスを迎えたものの、「ラインも良かったから『入れなきゃ』という気持ちが強すぎた」とボールはカップ左に抜けて、大きなチャンスを逸した。
時には相手のミスで勝利が転がりこむ幸運もあるが、勝負は強い方が勝つということを、ソンは知っている。「同組の池田さんはとても安定したプレーでミスはなかった。飛距離の差でビハインドと感じていたので、自分が強くなろう(強くなって勝負に勝つ)という気持ちでプレーできたのは良かった」と、最後まで粘りのプレーでくらいついた。
「この経験は自分の大きな財産。次は優勝できる、良い結果につながると思っている。次回は負けたインタビューではなくて、優勝インタビューを受けたいです」。悔しい気持ちを横に置き、場の空気を気遣って、最後は優しく微笑んだ。(茨城県小美玉市/糸井順子)