2016年 SMBCシンガポールオープン

腰の低さも日本一?小林伸太郎、焼き鳥店オーナーとの約束の続き

2016/01/29 19:10
再開後の第1ラウンドをバーディで締めくくった小林伸太郎はガッツポーズを作った

力強いガッツポーズからはうかがい知れない。人前に出ると途端に謙虚になる。シンガポールのセントーサゴルフクラブで行われている「SMBCシンガポールオープン」。雷雲接近の影響で連日のサスペンデッドとなった2日目を終え、ツアー未勝利の小林伸太郎が36ホールを完了し、通算7アンダーの暫定2位タイにつけた。

初めて訪れたシンガポールは、強烈な日差しに高湿度。この日、前日の未消化分を含め24ホールを戦い抜いたが「長くは感じませんでした。無我夢中で」と笑顔で汗をぬぐえた。グリーン上でのプレーが好調で、2ラウンドで計52パット。「ショットでバックスピンで戻そうと思っても、なかなか戻ってこない。アジアと日本の違いですかね」と雰囲気も感じ取りながら、絶好の位置で決勝ラウンド進出を確実にした。

ツアー初優勝が見える位置でトーナメントを折り返しても、29歳は低姿勢。「僕はとにかくパットを必死に入れていくだけ。ジョーダン・スピース“さん”もいれば…稲森(佑貴)くんも頑張って“いらっしゃる”」。

ちなみにスピースは小林の7歳下、稲森は8歳下。「年下でも、みんながプロゴルファー。敬意を表さないといけない」。生まれ持った謙虚さと苦難のプロ生活が、2007年「日本アマチュア選手権」王者の腰を低くさせる。

昨季は賞金ランキング63位で終え、フルシーズンを戦える「第1シード」獲得を逃した。終盤に額賀辰徳アンジェロ・キュー(フィリピン)に逆転され、今季与えられたポジションは「第2シード」の1番手。

キャップに刻まれた「焼鳥まさや」が3年前からスポンサーを務めており「シード選手になるまでのサポート」を約束されてきたが、「第2」のため今季も契約は継続。オーナーから「『お前、ワザと(第1シードを落としたの)か?』って言われちゃいました」と、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。「とにかく悔しかった」という悲哀をバネに、スタートダッシュを成功させる。(シンガポール・セントーサ/桂川洋一)

2016年 SMBCシンガポールオープン