石川遼は今週も好発進 思い出した「久々な感覚」
愛知県の三好CCで開幕した国内男子ツアー「トップ杯東海クラシック」初日、午前9時40分に10番からスタートした石川遼は8バーディ、4ボギー「68」でプレー。後半6番から3ボギーを叩く失速のフィニッシュとなったが、首位と3打差の4アンダー3位と上々のスタートを切った。
今季国内1勝目を飾った2週前の「ANAオープン」最終日から前週の「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」を経て、この日もパー3を除く14ホールすべてで振り抜いた1Wは、序盤から右サイドへのショットミスを重ねた。前半9ホールのフェアウェイキープは、右の木に当たり運よく左方向へ戻ってきた12番(パー5)の1度のみ。トータルで実に10ホールでフェアウェイを外した。
この日、冴えわたったのはパッティング。「(直近の試合で)パットはそんなに悪くなかったけど、フェース面と右手の関係をもっと良くしたかった」と順手から逆手(クロスハンド)に握りを変え、バーディを量産した。15番(パー5)で5mを決めて4つ目のバーディ。16番(パー3)はグリーン右手前のセミラフから6ydをパターでねじ込むと、17番もグリーン右手前のエッジからの3打目をパターで沈めて気合いのこもったガッツポーズを決めた。
フェアウェイキープ率全体70位(36%)、パーオン率33位(56%)、平均パット数3位(1.5)という数字が示すラウンドを、石川は次のように言葉にした。「ドライバーを振り回して、ラフからバーディを獲る。久々に気合いでゴルフをやったような感じでした」。
ミスを恐れずに1Wを強振し続け、観衆を沸かすプレーでバーディを量産するプレースタイルは、国内ツアーで史上最年少の賞金王に輝いた2009年前後の姿と重なる部分もある。この日「試合では久々だと思う」というクロスハンドをツアーで初めて試みたのも、賞金ランク10位で終えた10年だった。「中日クラウンズ」最終日に世界最少ストローク「58」をマークし、6打差逆転優勝を飾った年だ。この日のプレーを“久々な感じ”と表現したのは、当時を思い起こしたからかもしれない。
かつての感覚を呼び覚ましつつある攻撃的なプレースタイルへの回帰が、成長への過程であることだけを信じ、2日目以降もひたむきに攻め続ける。(愛知県みよし市/塚田達也)