2013年 ザ・ロイヤルトロフィ

初出場の藤田寛之「来年に繋がるものを」

2013/12/19 17:37
ロイヤルトロフィ初出場の藤田寛之。マッチプレーで明るい兆しを掴めるか?

「ザ・ロイヤルトロフィ」の開幕前日、プロアマ戦を終えた藤田寛之の前に、選手委員会メンバーの青木功が近づいてきて声を掛けた。「マッチプレー向きのコースだな。ストロークプレーだと、俺の場合は飽きそうだけどな」。カラカラと笑いながら去っていく背中を眺めながら、藤田もこの意見に同調した。「確かにトリッキーなので、マッチプレー向きと言えるかもしれないですね」。

会場となるドラゴンレイクGCは、前半のアウト9ホールが起伏の多い丘陵コース、後半インの9ホールは比較的フラットな作りになっている。総距離はアウトが3,437ヤードでインが3,531ヤードの計6,968ヤード。長くはないが、起伏に富んだグリーンと数多くのハザードが戦略性を高めている。

「バーディを獲れなくもないけれど、それを無理に狙っていくと落とし穴にはまる」というコースだが、今週は1ホールごとに相手を上回ればいいというマッチプレー。「こういう戦いでは、バーディでアップしていかないといけないので、ゴルフの質が求められる。そのレベルにどれだけ対応できるかどうか」。セーフティなゴルフではポイントを得ることは難しい。求められるのは“ピンを突き刺すようなスーパーショット”というわけだ。

13年シーズンを0勝で終えた前年度賞金王の状態は、万全とは言い難い。それでも、「打ちこみをしながら考えてきて方向性は掴みつつある。この試合で来年に繋がるようなものをという気持ちと、すぐにでも結果を出したいという気持ちがある」と、初出場となる今大会を、次シーズンへ向けた試金石と捉えている。

初日、2日目のダブルス戦(フォアサムとフォアボール)を重要視していきたいというアジアチーム。この日のプロアマ戦で、藤田は自身が使うタイトリストPro V1と石川遼の使うスリクソンZ-Star XVを打ちながら、感触を確かめていた。「遼も自分の球を持って、自分も遼の球を持って。まぁ実際には僕は練習場の球ですけどね。遼はBikke(藤田の愛称)と入った球ですけど、ランク的に(苦笑)」。

自虐的に笑う藤田だが、それが現在の自信のなさの表れか。「マッチプレーは集中力も高まっていくし嫌いじゃない。団体戦は責任感が何倍にもなるけど、だからこそやりがいもある」。百戦錬磨のベテランの本戦での変貌に期待したい。(中国・広州市/今岡涼太)

2013年 ザ・ロイヤルトロフィ