池田勇太 単独首位発進にも憮然「話にならない」
今季初勝利が待たれる池田勇太が絶好のスタートを切った。兵庫県のABCゴルフ倶楽部で開幕した国内男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント」第1ラウンドに1イーグル、7バーディ、1ボギーでコースレコードにあと1打と迫る「63」(パー71)をマーク。8アンダーの単独首位で滑り出した。
澄み渡った空の下、初日インスタートの池田は早々にバーディ合戦の先導役となった。
2ホール目の11番で第2打をピンそば1メートル、13番で2メートルにつけるなど好調を続けるショットでチャンスを作ると、後半1番までに5バーディを奪取。4番(パー5)では残り260ヤードの第2打をピン奥6メートルにつけてイーグルを決め、6番からはさらに2連続バーディ。リーダーボードの最上段に君臨してみせた。
ところがホールアウト直後の顔は憮然たるもの。最終9番、3パットボギーでのフィニッシュが表情を曇らせ「ああいうことをやってる時点で、話にならない」と口を開くなり、吐き捨てた。
現在の賞金ランキングは41位。「ショットだけやってたら、誰にも負けないくらいなんだけど…」とこぼすように、目下の不振要因はグリーン上にある。今週はツアーでも屈指の高速グリーンに対応するため「ただ、飛ばない(転がりをおさえた)パターを」と、新しいピン型モデルを握った。
しかし、自身の今季ベストとなるこのビッグスコアを出しても「フィーリングがどうのこうのとは言えない。たまたま。感じをつかんでいるというのではなく、合わせ、合わせでやっている」と笑顔はない。昨年、一昨年といずれも背中痛で棄権している同大会だが、グリーンとの相性の悪さも口にする。「速く見えない、傾斜もよく見えない。速いグリーンの方が好きだけれど、ABCとVISA(三井住友VISA太平洋マスターズ=太平洋御殿場)は、どういうわけか、まったく合わないんだ」
シーズン初の首位スタートにも「一歩間違えたら、73くらいだ」と、最後まで辛口の自己採点。周囲の期待が膨らむ一方で、池田本人は誰よりも冷静に戦況を見据えている。(兵庫県加東市/桂川洋一)