プレーオフ惜敗の片山晋呉「手応えはあった」
待望のツアー通算27勝目は、惜しくも転がり込んでこなかった。国内男子ツアー「コカ・コーラ東海クラシック」最終日。台風の影響でギャラリーの入場を制限した異例の最終ラウンドで片山晋呉はこの日のベストスコア「66」をマーク。通算6アンダーとしてホールアウトし、単独トップに立っていた最終組のH.W.リュー(韓国)が16番でトリプルボギーを叩いてプレーオフに突入したが、その1ホール目で敗れた。
正規の72ホールを終えた時点では首位に3打差の単独2位。片山はいったんクラブハウスに引き上げると、そのトップのリューが16番で第1打をグリーン左の崖に落としたことを知った。パッティンググリーンに向かい再調整を開始。2008年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来、4年ぶりの優勝に本人はもちろん、静かなコースも色めき立った。
しかし最終組は片山の4組も後。およそ1時間後に開始されたプレーオフの第1打を大きく左に曲げた。ボールは木の根元に張り付き、セカンドはフェアウェイに出すだけ。2オンに成功したリューに対し、片山は第3打をピンに絡められず8メートルのパーパットを残した。そして願いを込めた一打はカップ右に外れ、リューがパーとして復活勝利はお預けに。「しょうがないね。プレーオフになると思ってはいなかったし、そうなればラッキーくらいに思っていた」と惜敗直後は気丈に語った。
だが久々の優勝争いに「すごい手応えが1ヶ月くらい前からあった」と満足感も漂わせる。スタート前は首位に5打差も、天候不順もあり「自分が噛み合って、上が伸びなければこのコースならチャンスも無くはないと思ってやっていた」。
2008年に永久シード権を獲得し、2009年「マスターズ」で日本人史上最高位となる4位に入ってからは“燃え尽き症候群”にも陥り、その後は1勝がなかなかか届かない。それでも「自分としてはこの3年間くらい良い時間を過ごしていると思う。熟すのにはちょうどいい。すごくゴルフが好きになっている。ジャンボさん、中嶋さんも40代になってまた強くなった。僕もそういう時期に来ているのかなと思う。それを受け入れられているし、これからが楽しみ」と笑顔。ビッグトーナメントの続く後半戦に向け“役者”が帰ってきた。(愛知県みよし市/桂川洋一)