【GDO EYE】師匠・田中秀道の恩に報いる初勝利
富田雅哉がプロトーナメントの優勝を初めて体験したのは、今から13年前の1995年。当時18歳の富田は、「フィリップモリスチャンピオンシップ」に田中秀道のキャディとして帯同し、田中のツアー初優勝を特等席で味わった。
「あの時の歓声は僕に対してじゃないけど、今日は僕に拍手をしてくれた。興奮するし、熱いものがありましたね」。
今週、お師匠さんと慕う田中が、07年以来となる予選通過を果たし、富田が18番グリーンに上がってくると、アテストテントで待っていてくれた。「凄い嬉しかったですね」。優勝を確実にしてホールアウトした富田は、その場に田中を見つけると思わず目頭が熱くなった。
昨年末、富田は厳しい指摘を受けていた。「身体能力があって、羨ましい素材があるのに、賞金ランキング30位くらいで半笑している。おまえ、そんなんじゃないだろうって」。田中は、能力を持ちながらそれを発揮していない富田が、腹立たしかったという。「4位とか、7位とかで小さなガッツポーズをとっている。最終日の1番ティに、勝とうと思って立っているように思えない。もしそうならば、良く考えた方がいいよと。なんで、その思いで立たなかったのか。もしくは、立てなかったのか」。
富田は素直にそれを認める。「その通りの事を言われました。3000万円くらい稼いで、今年もシードを獲れたって思っていた」。
今週やっと、その気持ちが見えかけた。「今回は、(上田)諭尉さんに追いつきたい。追い越したいと思ってやっていた。目標を持ってやらないといけないって事が分かりました」。初優勝を決めた今は、「また、すぐ勝ちたいです」と狙うは次の優勝だ。チャンスがあればすぐにでも行きたいという米ツアー。目標を持って、それを達成する快感を知った富田が、いよいよ才能を開花させようとしている。(編集部:今岡涼太)