塚田陽亮 米国で挫折、アジアで再起
国内男子ツアーの「第40回VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」は23日(木)、福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開幕。ツアールーキーの藤本佳則が9アンダーの単独首位で発進する中、2打差の暫定2位タイに塚田陽亮(つかだ・ようすけ)がつけた。
午前中にティオフした塚田は、前半3番で3パットボギーが先行。しかし直後の4番で3メートルを沈めてバーディを取り返した。すると第2打でグリーン奥まで運んだパー5の6番から一気に4連続バーディ。後半立ち上がりの10番からは2メートル前後のパーパットをしぶとく沈め、終盤15番以降、4ホールで3バーディを重ねてツアーでの自己ベストとなる「65」をマークした。
長野県出身の27歳は、中学1年生時に群馬県でデビッド・レッドベターのアカデミーに参加。その後、同スクールは閉鎖されることになったが、3年生の時に米国フロリダに渡り、IMGアカデミーに籍を移した。世界中のトップアスリートの卵が集うそこには、4歳年下にテニスプレーヤーの錦織圭の少年時代の姿も。「小さい頃に英語教室に通っていたけれど、現地に行ったらハローとサンキューしか話せなかった」という状態で武者修行に挑んだ。
しかし、道のりは険しかった。もちろん“世界”を舞台とした選手になりたい夢がある。だがその目の前の壁は、現地でジュニアの大会に出場するたびに高くなっていった。「足し算、引き算ができない選手が、掛け算や割り算はできない。挫折したけれど、段階を踏んでいきたいと考えた」。高校卒業後に帰国し、名古屋商科大学に進学。2008年にプロ転向後、日本の下部ツアーなどを主戦場とし、今季は昨年末のQT80位という資格でレギュラーツアーに参戦。4試合に出場し、3試合で決勝ラウンド進出を果たしている。
日本ツアーでの出場権が乏しく、近年はアジアンツアーにも戦いの場を拡げた。もちろん英会話には自信がある。そして「その土地のものを食べるというのが自分のスタイル」と言う。各地にある日本料理店には極力足を運ばない。食事面から現地に溶け込み、たくましく転戦を続けるのがモットーだ。
地域やコースによって、芝のコンディションも多種多様のアジアンツアーに出場してきたことで、今大会の高麗芝のグリーンにも柔軟に対応。「タダで帰ってきたわけじゃなかったというか、今週それが活きました」と胸を張る。残り3日。大きなきっかけをつかむ一戦としたい。(福岡県糸島市/桂川洋一)