もうすぐ33歳「気が引き締まる」 石川遼の誕生日への意識変化
◇国内男子◇ANAオープン 事前情報(11日)◇札幌GC 輪厚C(北海道)◇7066yd(パー72)
10代の後半に差し掛かったころから、石川遼はほとんどの誕生日を北海道で過ごしてきた。「ANAオープン」では例年、主催者から花束やケーキが用意され、ろうそくの灯を消して祝福ムードに。ことしは9月17日が週明け火曜日にあたることからバースデーウィークとはいかないが、32歳で臨む最後のゲームへの意気込みはこれまでと違う。
初出場はプロ1年目の2008年。大会の開幕前日に17歳の記念日を祝ってもらってから、16年が経った。「今までは『わーい、誕生日だ』って感じで、年を取ることが楽しかったんですけど、今は気が引き締まる思いです」。20代前半の若手が台頭する昨今のツアーでは、すでに立派な中堅世代。プロでのキャリア、経験で言えば十分にベテランの域に達している。
「本当になぜか今年から結構、引き締まる。自分の心境に変化があるからかもしれない。『あと何年だろう』という思いもある。長ければ長いほどいいし、僕もそれを望んでいる」。第一線でプレーできる時間は無限ではない。「やっぱり勝負に出たい気持ちがある。すべてに熱い気持ちをもって、力を伸ばしていく戦いがこれからより重くなってくる」と真剣に先を見据える。
この輪厚コースで初めてプレーした08年は予選落ち。その後もトップ10に入れない年が続いたが、PGAツアー参戦時の15年に潮目が変わった。通算16アンダーで優勝し、翌年は3位。22年には大槻智春とのプレーオフに敗れて2位など、出場した直近6大会を2ケタ順位で終えたのは16位だった21年だけだ。
「誕生日のハッピーさと、この大会で良い成績が出せない口惜しさとが入り混じった時期があったんですけど、やっぱり一度優勝すると、ガラッとイメージが変わるというか、ここでゴルフをやることがすごく幸せになった」
年々思い入れが強くなったゲームは今年、開催50回目を迎える。「小さい頃からテレビで見ていた大会。何回も出させてもらって、優勝もできた。50年続く大会は日本にも数えるほどしかない。開催される地域の皆さんにとっても根付いた大会は、すぐに作れるものではない」。自分と歴史を作る時間の重みを感じずにはいられない。(北海道北広島市/桂川洋一)