「真似してもうまくなれるとは思っていない」 石川航が進む兄・遼とは違う道
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日(1日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)◇雨(観衆488人)
本大会2勝を含む、ツアー通算19勝の兄を持つ。「リスペクト…それが一番、良い表現なのかな」と石川航は首をかしげた。
予選会(マンデートーナメント)を7位で通過して2年連続の大会出場。初日は午前中に自分のプレーを終えると、正午頃にスタートした石川遼のラウンドについて歩いた。2021年のプロ転向後ではレギュラーツアーは12試合目。同じ試合に出ていれば、時間が許せば兄のプレーはだいたい見て歩いている。
「もちろん兄だからというのも大きいですが、見ていて面白い、応援したくなる選手。そういう魅力があると思います」。プレーを見る視点は“弟”というより、ひとりのファンに近いかもしれない。力強いスイングや、ショートゲームの引き出しの多さから学べることは沢山ある。ただ、数年前にスイングを参考にしようとしたら『真似するだけじゃ意味ないぞ』と兄からくぎを刺された。その意味は、プロとして模索を続けるほどよく分かる。
高校在学中の16歳にプロ宣言した兄に対し、埼玉・浦和高を卒業したあとは日体大に入学。卒業後のプロ転向を目指しながら、ゴルフ部では中島啓太や河本力らをチームメートに持ち主将を務めた。「近くで見ていて影響を受ける部分はありますけど、兄を真似していてもうまくなれるとは思っていない」。比較されることはあっても、経歴や体格、プレースタイルも8歳上の兄とは違う。
トーナメントの出場権を持たない今季、予選会で出場のチャンスを狙いながら、9月10日からは来季の出場資格をかけた予選会(QT・五浦庭園CC会場)に出る。QT挑戦は今年で4度目。これまで2度サードステージまで進んだが、レギュラーツアー出場権を得られるファイナルステージまでは届かなかった。「失敗したくないという思いが強いけど、いいプレーが出来れば突破できると思う」と出場権獲得を目指す。
アジアンツアー挑戦への思いも、いまはだいぶ強くなった。同ツアーQTの出場経験がある久保田皓也から、「いろいろな世界の選手と回るのは勉強になる。良い経験になるから」と強く勧められたという。「今までは五分五分だったけど、だいぶ気持ちが傾いた」と、9月から12月にかけて全7会場で行われる予選会への挑戦も視野に入れている。
36ホールの短期決戦になった今週は、初日「80」と出遅れて91位に終わったが、第2ラウンドは「68」でプレー。「初日はかなりかみ合わなくて悔しかったけど、練習場で修正できた。自分には、自分のやり方を見つけていかないと」。ひとりのツアープレーヤーとして成長している最中だ。(山梨県河口湖町/谷口愛純)