世界レベルを目指す香妻陣一朗 「LIVで戦うスコア」を想定した最終日
◇国内男子◇Sansan KBCオーガスタ 最終日(25日)◇芥屋GC(福岡)◇7274yd(パー72)◇曇り(観衆9686人)
主戦場がLIVゴルフの香妻陣一朗が来季の日本ツアー出場権を手にするには優勝しかなかった。逃げ切りを狙った最終日、小斉平優和にプレーオフまで持ち込まれたものの、2022年「東建ホームメイトカップ」以来の3勝目を手にした。
前半にスコアを3つ伸ばし、リードをスタート時の1打から3打に広げて折り返した。終盤16番で5個目のバーディを奪い、「楽になった」と思った直後に17、18番で連続ボギー。「守ってしまった」ことは反省点だが、プレーオフになっても焦りはなかった。
LIVゴルフには、今季「全米オープン」を制したブライソン・デシャンボー、元世界ランク1位のジョン・ラームら世界トップレベルの選手が集う。今年、そんな舞台に飛び込み、今後も戦っていきたいから「LIVで戦っているときのようなスコアを想定した」という。通算16アンダーから出た最終日、目標は「64」が必要な通算24アンダー。それぐらい伸ばさないとLIVではトップ10に入れない―。そんな会話を帯同キャディと交わしていた。
2年4カ月前の前回優勝時は「メジャー」を目指していた。しかし、今は違う。「最終的にはメジャーに出たいけど、どこのツアーっていうことではなくて、今よりも自分がレベルアップすること。より強い選手たちと競い合うのが一番レベルアップにつながる」。LIV、米ツアー(PGAツアー)、欧州ツアー(DPワールドツアー)など「今よりいい(レベルが高い)ところでやりたい」。そんなビジョンがある。
妻の玲奈さんと昨年5月に生まれた第一子の前に、初めて優勝する姿を見せられた。両親も含めて家族全員でトロフィを掲げられた。来季の日本ツアーシードも手にできた。そんな喜びの一方で「次はもうちょっと気持ちよく勝ちたい」と、理想通りにならなかったプレーに不満が残る。
LIVの今季最後の個人戦は9月13日開幕の「シカゴ」だが、その前に29日開幕の「フジサンケイクラシック」に出場する。「気持ちよく勝つってところを目指して頑張りたい」。世界レベルを意識する30歳は、貪欲に高みを目指す。(福岡県糸島市/石井操)