またこの場所で戦いたい ツアーを離れて9年のベテラン諸藤将次の願い
◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 2日目(12日)◇ザ・ノースカントリーGC(北海道)◇7178yd(パー72)◇曇り(観衆1347人)
今季ツアー初出場の38歳、諸藤将次が通算6アンダーで予選通過した。
19位スタートから4バーディ、1ボギーの通算7アンダーで迎えた終盤17番。147ydの第2打をPWと迷った末の9Iでグリーン奥のブッシュに打ち込んだ。「風を読み違えてしまった。でも、ナイスボギー」。ミスすらも笑顔で説明するほど、ツアー競技でプレーする喜びは大きい。
「何なんでしょうね。雰囲気が良くて、集中力が出る。ここに戻りたいな、と今も思っています」。マンデートーナメント(主催者推薦選考会)を突破して、本戦出場した今週、あらためて思いは強くなった。
福岡・沖学園高3年の2003年「久光製薬KBCオーガスタ」でドライビングディスタンス平均314yd超を記録した。プロ転向6年目の11年に「フジサンケイクラシック」でツアー初優勝。同年の飛距離がツアー2位の298.93yd。若き飛ばし屋はスター候補だった。
13年にゴルファーの業病でもある左手親指を痛め、ツアーを離れた。復帰した15年は出場18戦で予選通過が2回だけ。以後、年間最多出場が16年の4試合。ツアーの第一線からほぼ姿を消した。
「指を痛めて、練習できなくなったことが大きかった」。負傷から10年、もう患部はなんともないが、ツアー出場権を争うQTの壁が越えられない。「一番の理由は、全体のレベルが上がってること。本当に調子が良くないと勝ち抜けない。ツアー競技に出られたら(なんとかなる)…という思いはあるけど、そこまで行くのが厳しい」
10年前、ツアー屈指を誇った飛距離も初日は293.09ydで全体60位。「もう飛ばない方です」と苦笑いする。再びツアーで戦うため、かつて63kgだった体重を数年がかりで現在の72kgまで増やした。筋力アップしたため、シャツ、ズボンのサイズも1つ上がった。それでも、パワーは若手にかなわない。
今週の練習ラウンドは日大の1年後輩、木下裕太と一緒に回った。現地入りすると、同学年の塚田陽亮に誘われて、食事に行った。「塚田はいつも気にかけてくれて、(下部ツアーの)ABEMAでいい位置にいたりしたら、すぐ連絡してくるんです」。すっかり顔ぶれが変わった世界に、自分を知る仲間がいる。「居場所があるって感じます。だから、戻りたい」。今年のQT挑戦は8月末に始まる1次から。2次、3次、そしてファイナル…。いくつもあるハードルを越えるべく、今週の残り2日も、そのためにある。(北海道千歳市/加藤裕一)