蝉川泰果が2日連続「64」 復調の陰に“谷口徹先生”
◇国内男子◇マイナビABCチャンピオンシップ 3日目(4日)◇ABCGC(兵庫)◇7217yd(パー72)◇晴れ時々曇り(観衆1502人)
今週、磨きをかけた感性が、蝉川泰果の両手からパターヘッドに伝わっていく。前半の5番グリーン。下りスライス、3mのバーディパット。ほぼ触るだけのタッチで優しくカップに流し込んだ。7番の下り1.5mも同様だ。
大会開幕前に「課題はすべてにありますが、特に今週のテーマはパットです」と言い、2日連続「64」となった前日とこの日のホールアウト後も「ショートパットの練習をたくさんして、それがいい結果につながりました」と話した。前日の16番(パー3)では約20mから3パットしたが、この2日間でボギーはその1つだけ。ほぼノーミスのプレーが続き、蝉川の表情は晴れやかだ。
練習ラウンドでもらった谷口徹の助言が大きい。感性あふれるタッチの“パットの名手”に「もうちょっとフォローをとった方がええよ」と言われた。今週、60度のウェッジのシャフトを軽めに替えたのも、ショートゲームには「もっと遊びがあるもんやで」と諭されたためだ。
今季初の予選落ちを喫した8月「Sansan KBCオーガスタ」以降の7試合、9月「パナソニックオープン」でも予選落ちするなど、不調をかこってきた。予選落ち2試合の平均パット数は「Sansan―」第1ラウンドがフィールド120位、「パナソニック―」第2ラウンドが同104位。どん底だったパットの調子を上げるため、今週は2本のティを差した間にヘッドを通すなどのオートマチックなドリルをせず、カップの四方から1、2mの距離を「感性中心に振り感だけで」入れる練習に没頭した。元賞金王の大ベテランには感謝しかない。
故郷・加東市開催の地元大会でのプロ2勝目へ。首位の中島啓太を2打差で追う。前日のラウンド後には自宅近くで散髪した。見た目もゴルフもスッキリし、最終日最終組の優勝争いに没頭するだけだ。(兵庫県加東市/加藤裕一)