かつての“鬼”は満身創痍 キム・キョンテは原因不明の痛みと戦い「69」
◇日韓亜男子共催◇シンハンドンヘオープン 7日(初日)◇クラブ72CC・オーシャンコース(韓国)◇7204yd(パー72)
リーダーボードの中に懐かしい名前があった。キム・キョンテ(韓国)だ。久しぶりに見た姿は以前よりほっそりとして、肩で息をしながらクラブハウスに上がってきた。「お腹を下しちゃって、きょう何も食べてなくて力が出ないんです」。背中に痛みを抱えているという話は聞いていたが、今週は腹痛とも戦っている様子。「4日間で4キロ体重を落とした」というが、その状況でも「69」の3アンダーでホールアウト。国内ツアー通算14勝、“鬼”と恐れられた実力はさすがだ。
日本ツアーが絡む試合は2022年11月の「ダンロップフェニックス」以来。21年初戦の「東建ホームメイトカップ」を新型コロナウイルス感染で途中棄権してからは、高熱や肺炎に悩まされ1年間ツアーを休んでいた。
昨年は日本ツアー17試合に出場して、予選通過が7回に棄権が3回。賞金ランクは116位と思うような成績を出せていなかった。今年は主に韓国ツアーに出場しているが、「春先は背中の痛みがだいぶ悪かったので、試合も半分ぐらいしか出られていない」と痛みとの闘いは続いている。
MRI検査やDNA鑑定を行って治療を続けているが、痛みの原因は明確になっていない。「それでもお医者さんも問題ないって言うし…。痛みの場所も広範囲で、きょうはこの辺、きょうはここと日替わりなんです」という状況だからやっかいだ。それでも少しずつ良くはなっているようで、「治ったら日本のツアーに戻りたいんですよね。ホント日本のツアーが好き」と希望は持ち続けている。
日本から離れていた間も、かつてのキャディ島中大輔氏とは連絡を取り合っている。今は中島啓太のエースキャディを務めており、3人で食事に行く話も出ていたが「僕がお腹痛いから難しいかな」と残念そう。それでも、中島がキムのプレーに憧れていたというエピソードを話すと「あんなにいい選手からそんな言われ方をして幸せですよ」とうれしそうな笑顔がこぼれた。
満身創痍(そうい)の状態だが、その中で後半のアウトコース5バーディは圧巻。「2番ホールがグリーン奥まで行って、芝がなくて砂が多くてすごいライが悪かったんです。 で、アプローチウェッジを最初持って、あ、これ無理だなと思って、5番アイアンの転がしに切り替えました。したらそれが入っちゃった。きょうは無理しないプレーが良かったですね」とかつての“鬼”の片りんを見せた。あす以降も「体力がいちばん大事」と無理をしないゴルフに徹底するつもりだ。(韓国・仁川/服部謙二郎)