スタート前は「GC4」でキャリーをチェック
◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 2日目◇横浜CC(神奈川)◇パー71(7231yd)
プロがスタート前の練習で、打席に計測器を置く姿は当たり前の光景になってきた。ボールの前にカメラ式測定器「GC4」を置くか、打席の後ろ(飛球線後方)にレーダー式測定器「トラックマン」「フライトスコープ」を置くのが通例だ。横浜ミナトの打撃練習場では、計測器の中でもGC4を使っている選手が目立った。
この日、「61」を出した清水大成もそうだし、午後組の平田憲聖や岩崎亜久竜、河本力、生源寺龍憲もそう。午後組の練習を見ていてトラックマンを置いていたのは比嘉一貴だけ。最近はアメリカのPGAツアーでも朝の練習はGC4のみという選手が増えていて、中にはGC4とトラックマンの“2台置き”もいる。
「GC4は朝の練習に適していますよね」というのは、河本力のコーチである目澤秀憲氏。その真意を聞いてみると…。「どちらが優れているかとかではなく、トラックマンやフライトスコープはレーダー式でボールを追って計測し、測る距離は基本的に雨や風といった外的要因を加味した数値となります。一方でGC4はカメラ式でインパクト前後のボールの挙動を元に計測し、気候などの外的要因抜きで距離を計算します。日々のキャリーの距離をチェックするためには、外的要因がない後者のほうが純粋な距離を測りやすいわけです」
「いつもより距離が出ていない」とか「今日は飛ぶ」とか。GC4だとその日の調子で何ヤードのズレがあるかハッキリ分かるということだ。このズレを把握しているか、していないかで、マネジメントにもかなり影響が出てくる。“2台置き”の選手は、その日の調子と、天候などの状況による数値をダブルチェックしているのだろう。
河本力はフライトスコープも持っていて、試合後練習では打席の後ろにそれを置き、GC4との2台でチェックする。「フェーストゥパス(スイングパスに対してのフェース向き)やフェーストゥターゲット(ターゲットに対してのフェース向き)も見ますし、ショートアイアンのランチアングル(打ち出し角)などもチェックします。フライトスコープのほうがとれるデータも多いので、やはり重宝していますね」と目澤コーチ。それぞれの計測器を状況によって使い分けているようだ。
GC4は他にも使い勝手が多い。目澤コーチは「レーダー式はスピードのあるボールを追うのが得意で、カメラ式のGC4は遅いものを追いかけるのが得意。ですから、GC4を持っている選手にはアプローチなどでも計測してもらっています。スピンやキャリー、ボール初速、ランチアングルなどを定期的にチェックしておくのは上達の近道」と言う。その場にポンと置くだけでいきなり計測ができる利便性も普及している理由のひとつかもしれない。
そのGC4は、200万円近くする高価なもの。だが、この一台があって一打が変わるのであれば…。プロゴルファーにとって、そう高い買い物ではないのかもしれない。(横浜市保土ケ谷区/服部謙二郎)