2023年 日本プロ

整う<先週の一枚>日本プロゴルフ選手権

2023/08/01 18:31
夕刻の一打

サウナのような本州を飛び出し、夏の北海道へ向かう。低い湿度と爽やかな風が、じっとり重くなった身もココロも軽くしてくれるはずだ。その上、美しい木々と本当に青い空、緑が鮮やかな洋芝。写真の質を何段階も上げてくれる要素がたくさんある。そんな期待を抱いて訪れた「第90回 日本プロゴルフ選手権」は、淡い期待に反して撮る側も撮られる側も汗をぬぐい続ける白熱の展開となった。

カメラマンにとって、選手が来る前に撮影ポジションを決めることは最も難しく、最も楽しいミッションだ。今回の開催コース、恵庭カントリークラブは上がり3ホールが西に向かって進む。つまり、決勝ラウンドの上位選手がその3ホールをプレーする時間帯は太陽に向かってショットを打つことになる。18番ホールのティイングエリアに最終組がやってくるまでカメラを構える場所を悩み続けた僕は選手の後方、真逆光のポジションを選んだ。

不確定要素が多い選手後方はハイリスクハイリターンなポジションといえる。特に、メディアとギャラリーの注目が集まる最終組は最も身動きがとりづらくなる。しかし、うまくハマれば試合を象徴するような画が撮れるかもしれない。賭けだ。同じアングルを選んだ他のカメラマンと、お互い汗まみれになった肩や腕を密着させながらその時を待つ。選手がティアップする場所を決め、いよいよ準備に入る。静寂の中のテークバック。トップオブスイング。ダウンスイング。インパクト。北海道の透き通る夕空に乾いた打球音が響く。フォロースルー。フィニッシュ。押し続けたシャッターが、ようやく止まる。

ティショットを終え選手が歩き出したあと、這いつくばっていた体を起こし、体についた芝や土を払う。密着によってお互いの汗を交換し合ったとなりのカメラマンと目が合う。言葉はなくとも、お互いミッションを成し遂げた喜びが汗と一緒に身体中から吹き出している。疲労がピークに達するこの時間帯。さっきまで重かった体は、見事に整った。(フォトグラファー・今井暖)

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