苦手コースって言ってたのに 河本力は“ドライバー3発”で8アンダー
◇国内男子◇ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品 初日(22日)◇西那須野CC(栃木)◇7036yd(パー72)◇雨(観衆590人)
右ドッグレッグの前半11番(パー5)のティイングエリアで、河本力は誰よりも右を向いてアドレスした。「少しでも左に出すと木に当たってボールがなくなってしまう。池に入るかもしれない。右の木の方ならパーは取れるかなと」。林を目がけて打ち出された1Wショットはまだ小雨の時間帯だったとはいえ、フェアウェイに落ちて350ydを記録した。
2打目を9Iで打つほどの飛距離。今や日本ツアーの“ショータイム”と言ってイイ、河本の1Wショットは今週、1ラウンドで3回ほどになりそう。「1回しか握らない日もあるかな」。初日はこのホールのほかに16番、6番(ともにパー5)で手にした。
実は今大会のコースには苦手意識があった。日体大時代の合宿で訪れた際は「平均スコアは“74”とか。アンダーパーで回る回数の方がずっと少なかった」。プロになった成長の証? 「それは間違いない」と言いつつ、本番でない時とはコースマネジメントがかなり違う。「合宿では(狭いホールで)ドライバーも練習したいのもある。試合になったら打てないホールがたくさんありますね」と堅実なプレーを心がけ、初日は8バーディ「64」。片岡尚之と並んで8アンダーの首位発進を決めた。
どれだけリードしても同じ大学OBの名前はもちろん気になる。中島啓太は「68」で4アンダー17位。1つ後ろの組で静かに、無難に初日を乗り越えてきた。ここ4試合連続で最終日最終組を回るほどの充実ぶり。河本はシーズン序盤から「練習ラウンドで衝撃を受けた。めちゃくちゃうまくて」と活躍を予感していたという。
会場入り前日の今週月曜日(19日)に連戦の合間を縫って一緒にオフを満喫した。埼玉県内の中島家のドアを叩くと、しっかりトレーニングに精を出していたから、ため息が出る思い。「僕はストレッチポールで寝転がってました」と笑う顔はどこか後輩のことが誇らしげだ。
苦手なコースで好結果が出ないとは限らない。「“芥屋”も得意じゃないです」ときっぱり。初優勝を飾った昨年の「Sansan KBCオーガスタ」の会場も試合前は攻略できると思っていなかった。プロ2年目で臨む選手会主催の大会。「自分に何ができるか分かんないですけど、試合を盛り上げたい。きっとそれが一番なんじゃないかなと思う」と全力を披露し続ける。(栃木県那須塩原市/桂川洋一)