池田勇太、“我が家”での勝利に「泣きそうだった」
今年の「ブリヂストンオープン」を制したのは、開催前から「思い入れの強い大会」と口にしていた池田勇太。地元・千葉県出身で、ホストプロという立場。さらに開催コースの袖ヶ浦CCは、小学生の頃からラウンド経験のある熟知した場所だ。祖父母を始めとする家族や、多くの知り合いが見守る中、「期待に応えようという意識だけでやった。我が家で優勝した気分だね」と充実感に浸る池田。ギャラリーを前にした優勝インタビューで「18番グリーンで泣きそうだったけど、ガマンしました」と話すほど、今大会にかける意気込みは並大抵ではなかった。
この日、8バーディ、1ボギーの猛チャージ。首位に2打差からの鮮やかな逆転劇だ。2週前の「キヤノンオープン」では右手首を痛め、今週は初日からテーピングを巻いてプレーを続けるなど、決して万全の状態ではなかった。特に最終日は気温も上がらず、手首への負担も増す。3日目までは「やさしくプレーした」と手首をケアしながらのラウンドだったが、最終日は「今日は痛い、寒いなんて言っている場合じゃない。今日のラウンドがもてばいいという頭だった」と、後先を考えない覚悟で臨んだ。
これで今季4勝目を獲得し、優勝賞金3,000万円を上積み。賞金ランキングトップの座を奪還し、石川遼に約960万円の差をつけた。石川とのマッチレースの状況を呈している賞金王争いだが、自身は「特に意識していない。まだ1試合、2試合勝てば、逆転できるじゃないですか。いいプレーをしていれば、結果も賞金もついてくると考えてます」と、一喜一憂することはない。試合中も「基本的に固くなることはないね」と緊張とは無縁の性格。いかなる時も平常心をキープできることが、4日間を通して、そしてシーズンを通して実力を発揮できる要素なのかもしれない。
今週の勝利により、来年開催の世界ゴルフ選手権「WGC ブリヂストンインビテーショナル」の出場権も獲得。「いい勉強になると思う。やってみたい場所ではあったし、(出場権を)頂いたからには活躍できるように頑張ります」と意気込みを示した。石川と同じように、着々と世界への扉を開いている池田。男子ゴルフ界を席巻する23歳の“若大将”が、破竹の勢いで頂点へと駆け上がっている。