米国挑戦か賞金王か 木下稜介の悩ましい終盤戦
◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 初日(23日)◇城陽CC (京都)◇6967yd(パー72)
ツアー2勝の木下稜介がボギーなしの7バーディ「65」で回り、単独首位で滑りだした。「ティショットでしっかりフェアウェイキープできたのは良かった」。ピンチらしいピンチは14番。アプローチミスしてピン奥4mのパーパットを残したが、しっかり沈めた。
奈良県にある自宅から車で1時間かからないコースは、アマチュア時代に試合会場だったこともあり、プロ転向してからも知り合いの縁を使って「1カ月に1回ほど」通っていた。慣れ親しんだコースに加えて、今年は6月の国内メジャー「日本ツアー選手権 森ビル杯 Shishido Hills」、「ダンロップ・スリクソン福島オープン」と2週連続優勝をしたことで自信にも満ち溢れている。
「ショットが安定していて、自信を持って思った球を打てている」。今大会前の2試合でも5位タイ、3位タイとトップ5をマーク。「メンタルの状態もいい。そこが一番」とうなずくが、調子がいいからこそ解消できない、悩ましい問題もある。
2020年と21年でシーズン統合された今季は20試合を終えて8279万5981円を稼ぎ、トップの星野陸也に次いで賞金ランキング2位につけている。星野との差は約92万円で、年間王者の座も狙える位置にいる。
一方で、10月の「ブリヂストンオープン」を終えた時点で同ランク5位以内をキープできれば、米下部コーンフェリーツアーの予選会にファイナルステージ(11月4日~)から参戦出来る。ただ、渡米して予選会を戦い、帰国後に2週間隔離となれば、国内ツアーは最低3試合には出場できない。5年シードを保持する木下は「全英オープンとWGCを経験して、そのフィールドで、世界でやりたいとなった。でも賞金王にもなりたい」とさいなまれている。
歴代賞金王には尾崎将司、青木功、中嶋常幸をはじめ、同学年の松山英樹や石川遼らの名前もある。同い年ながら背中を追ってきた2人と同じ称号を手にすることが出来るかもしれないとなれば、簡単には捨てられない。「(米下部予選会の)締め切りまで悩み続けようと思います」。茨の道ではあるが、両方とも手にできる道もまだ残されている。(京都府城陽市/石井操)