長尺ドライバー連投 石川遼は最終パー5ボギーも今季最高のスタート
◇国内メジャー◇日本プロゴルフ選手権 初日(1日)◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7236yd(パー71)
「一番、気を付けている」という注意点が最後に悪い結果につながったのが悔しい。イーグルも狙える最終9番(パー5)、1Wショットは警戒していた右サイドに流れ、木に当たってOBゾーンへと消えた。「まだ(球を)捕まえるタイミングがつかめていない。フェードが曲がりすぎた」と石川遼。ボギーフィニッシュで最上位グループでのスタートはならなかった。
雨の勢いが弱まった午後のスタートで、出だし10番はピンチをしのいだ。3オンから残した5mのスライスラインを沈めてボギーを回避。バーディラッシュはその後、始まった。2オンに成功した13番(パー5)から2連続、グリーン奥の刈り込みから12mをパターで沈めた16番(パー3)から再び2連続。前半をプレーしているうちに上位争いに加わった。
折り返しの2番で5つ目を奪ってからは、ショットで作ったチャンスを決めきれない展開。だからこそ、“よだれ”が出そうな最終ホールでの取りこぼしは「ティショットは悪くなかった。まさかOBまで行くとは…」と想定外の面もあった。
5バーディ、1ボギーの「67」で余力を残した形での4アンダー。2020-21年シーズンベストとなる7位での発進は、数カ月前までとはわずかでも異なる攻め方が演出した。2週前の「全米オープン」で投入した48インチ近い1Wを国内でも使用。この日は9番の打ち直しの第3打を含めて12回握り、星野陸也を何度もオーバードライブした。
両サイドに木々が連なるホールばかりを相手に、曲がるリスクが高い長尺クラブを握れたのは、飛距離が10ydほど伸びたことで「安全」と思えるエリアをグリーンの近くに“発見”できたから。「スイングができ上がってきた」という手応えもあるからだ。グリーン周りでの基礎練習に時間を多く割けるようになってきたことも大きい。2打目以降に長い距離を残していた昨年と比較し、「本当に去年とはまったく違う」マネジメントを実践した。
今大会はスポーツ庁の特別措置により、星野陸也とともに米国からの帰国後の自主隔離期間中に出場している。他人との接触を避けた導線が用意され、コース内のロッジに宿泊しているのも感染対策のための行動制限の一環だ。「でも息が詰まることはない。不便かというとそんなことはない。飲み物も買ってきてもらったりしている。いろんな方に動いてもらうのは、そのぶん申し訳ない」という。
大会初開催のコースで、この日も一番多くのギャラリーを引き連れた。好結果は、尽力してくれている多くの人に報いる手段の一つでもある。(栃木県日光市/桂川洋一)