「1勝だけじゃ一流じゃない」木下稜介が日本人初の初優勝から2戦連続V
◇国内男子◇ダンロップ・スリクソン福島オープン 最終日(27日)◇グランディ那須白河ゴルフクラブ (福島)◇6961yd(パー72)
木下稜介が3週前の「日本ツアー選手権 森ビル杯」の初優勝に続いて2連勝を飾った。セベ・バレステロス(スペイン、1977年)、ジーブ・ミルカ・シン(インド、2006年)、プラヤド・マークセン(タイ、2008年)と過去3人が達成してきたが、日本人ではツアー初。「調子の良いまま来て、狙って勝てたと言ったら偉そうかもしれないけど、この優勝でさらに自信がつきました」と喜びをかみしめた。
5打差5位タイから出た前半9ホールで5番からの5連続を含む7バーディ。ハーフ「29」で首位の時松隆光を捉えた。11番のバーディで単独トップに浮上するも、リーダーボードのある最終18番(パー5)まで自分との闘いに没頭して「62」をたたき出した。
その18番を獲れず、時松に追いつかれて突入した自身初のプレーオフ。3打目は左下がりの右ラフからロブショット気味のアプローチでグリーンの傾斜を使って巧みに寄せ、バーディ決着につなげた。
「今週、ああいうアプローチが4回くらいあって、全部成功していた。いいイメージで入れました」。きっかけは前週テレビ観戦していた「全米オープン」。ショートゲームの名手、フィル・ミケルソンの打ち方に目を見張った。「ロブでボールにコンタクトするのではなく、手前ごと持っていく感じ。練習してみたら、スピンも利くし、球も上がる。引き出しが増えました」。念願のタイトルを獲った後のオープンウィーク。ささいな瞬間であっても、ゴルフをうまくなる方法論が思考を占める。
「僕自身もそう思っていたけど、いろんな方が『これからが勝負』『1勝だけじゃ一流じゃない』と気合を入れてくれた。初優勝でホッとしなかったこと、満足しなかったことが一番」
現在159位の世界ランキングも100位前後まで浮上する見込みだ。「来週は日本プロ、メジャー大会がある。この調子で行けば3週連続優勝も、もしかしたらできるかもしれない」。持ち前のショット力、強化したパッティングといった技術面はもちろん、貪欲さを失わない向上心。ツアー本格参戦8年目でようやく殻を破ってから一気の覚醒には、確かな裏付けがある。(福島県西郷村/亀山泰宏)