コロナ禍の来日即決 チャン・キムは最終戦V翌日から再び隔離生活へ
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日(6日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)
最終18番(パー3)で1.5mのパーパットを残した。「どうしても決めなければいけない。手が震えた」。しっかり沈めて6バーディ、3ボギーの「67」でホールアウトしても、チャン・キムのドキドキは続いた。「3人のプレーオフになると思っていた」。すぐ後ろの最終組、通算8アンダーで並んでいた谷原秀人と岩田寛のボギーフィニッシュを見届け、ようやく重圧から解放された。
30人のうち、海外勢がわずか3人というコロナ禍の2020年を象徴する最終戦のフィールド。国内開催初戦だった9月「フジサンケイクラシック」にはビザ取得が間に合わなかったが、米国開催となった10月「ZOZOチャンピオンシップ」後の来日については、見送るツアー仲間たちもいる中で迷わなかった。
「たとえ少ないトーナメント数だとしても、JGTOの方々の尽力で政府にも働きかけていただいて、またとないチャンスを与えていただいた。意気に感じた」
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ホテルで14日間の隔離生活も経験した。身長188㎝、体重105㎏の巨大な体もあって、部屋でできるのは「ストレッチとクラブを持たずにスイングの動きをチェックするくらい」。難しい調整を強いられても、「食べ物を手に入れるためにコンビニに出かけることは許されていた。ローソンの食べ物は大好きだから、そんなに悪いものではなかった。おにぎりでもサンドイッチでも、おいしくいただきましたよ」と豪快に笑い飛ばすタフさがあった。
「ZOZO-」では憧れだったタイガー・ウッズと同組でプレー。そして、来日後の3試合はトップ10を外さず、最終戦制覇と実力を発揮した。「タイガーとのプレーは夢でもあった。そのことも大きかったが、この優勝がことしのハイライトかな」。昨年「日本オープン」に続く日本タイトルをゲットし、次のターゲットとして「日本ゴルフツアー選手権」を“指名”した。
一夜明けて7日(月)には、韓国へ向かう。「また2週間の隔離期間だね」と苦笑しつつ、祖母や親戚らとともに新たな年明けを迎える予定だ。(東京都稲城市/亀山泰宏)