「命を削る姿勢が好き」岩田寛を虜にしたボディビルダーの生き方
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 2日目(4日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)
ストイックな姿勢で知られる岩田寛。2015年「全米プロ」2日目に当時のメジャー最少ストローク「63」に並んだ朝の練習では、ショットに納得がいかず、いつまでも短い番手を打ち続けて長いクラブを握る時間が残っていなかったという逸話も残る完璧主義者だ。
試合が次々と中止になった2020年、求道者はどうゴルフと向き合っていたのか。「前よりも体のことを気にするようになりました」という言葉の続きが、唯一無二のキャラクターを表している。「ずっと、ボディビルダーのYouTubeを見ていました」
スポーツジムに通うことはできないので、自宅で使えるトレーニング器具も購入。とはいえ、ブライソン・デシャンボーのようにムキムキになりたかったわけじゃない。「その人の姿勢というか、そういうのが好きで。すごいんですよ、命削ってるんですよ」と声のトーンを上げた。
特にリスペクトを口にするのが、「ジュラシック木澤」こと木澤大祐さん。着ているパジャマまで同じもの通販サイトで注文したとか。「『ビルダー飲み』ってあるんですけど、水に溶かさないで(プロテインの粉を)そのまま飲むんです。それをやったら、最初(むせて)せきが止まらなくて…」。コロナ禍で周囲を勘違いさせてはいけないと、こればかりは断念したという。
試合が消えた空白期間を、岩田なりのこだわりで埋めて過ごした1年の最終戦。6番(パー5)では残り210ydから5Iでピンそば2mに2オンしてイーグルを奪うなど、「67」で首位と1打差の通算7アンダー3位に浮上して週末を迎える。
「出球がたまに左に出る。それを気にしたら、(アドレスの)向きもワケわからなくなっちゃう感じ。後半はちょっと気持ち悪かったです」と終盤のプレーに不満をのぞかせつつ、「最終日に優勝争いをしたいですね」と5年ぶりのタイトルへ意欲がにじんだ。(東京都稲城市/亀山泰宏)