6年半の相棒がキャディ引退 藤田寛之は惜別の最終戦
2020/12/03 19:15
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 初日(3日)◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70)
別れの言葉は突然だった。藤田寛之は11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」の練習場で、キャディのピーター・ブルースさんから2020年限りで引退する決意を告げられた。
2014年6月の「日本ゴルフツアー選手権」からコンビを組み、同年「ダイヤモンドカップ」ではブルースさんの46回目の誕生日に優勝も飾った。「すごく信頼していたし、人としても大好きだった」。一緒にゴルフをすることもあれば、小型船舶免許を持つ藤田が船に乗せてもてなしたことも。家族ぐるみの付き合いだった。
母国オーストラリアに戻って、ゴルフ場で働くという。「プロキャディからの“卒業”。ピーターの今後の人生を考えれば、いいことだから」。自分に言い聞かせ、感謝の気持ちを込めて送り出そうにも、やっぱり名残惜しい。「さびしいですね」とつぶやきが漏れる。
「それ(引退)を言われてから、なんとか上位でと思ってやっているけど、歯がゆい」。いきなり連続バーディで滑り出し、「3番まではすごくいいイメージ。3連覇のころのような自分、楽な自分がいた」。後半にショットが乱れたが、5バーディ、3ボギーの「68」で2アンダー10位と好スタートを切った。
いままで当たり前のように繰り返してきたルーティンすら特別な瞬間に思える一週間。「最後の…じゃないけど『最後の練習ラウンド』とかね。もうすぐ、『最後の初日』が終わるんだよね」。相棒への思いをショットに乗せ、2020年最終戦を戦い抜く。(東京都稲城市/亀山泰宏)