ギアニュース

~第1部 前作を超えない限りリリースしない!徹底した商品開発~ 米国PING本社に潜入レポート!

2011/03/02 10:15
PING本社にある幻のゴールドパタールーム。現在4500本ほどのゴールドパターが飾られている

米国でゴルフクラブの売上高トップ3に入る「PING GOLF」。他の売上上位メーカーとは違い、ほぼゴルフクラブの売上で成り立っており、ゴルフクラブに関してユーザーから高い信頼を得ている大手メーカーだ。今回、人気の秘密を探るべく、米国アリゾナ州フェニックスにある「PING GOLF」本社に潜入調査を行った。

「PING GOLF」の創始者カーステン・ソルハイムは、「ピンパター」や「キャビティアイアン」を発明したクラブ開発出身の人物。「前作の製品を超えない限り、新製品はリリースしない」という会社理念は、2011年1月に日本の社長に就任したばかりの3代目ジョン・K・ソルハイムまで引き継がれており、エンジニアの人数が他のメーカーよりも多く、約半世紀にも及ぶ商品開発の知識を元に、今も徹底したモノづくりを行っている。

PING GOLFのトレードマーク「PING MAN」。創始者カーステン・ソルハイムの孫が、ゴルフをしている祖父の姿を粘土細工で作成した人形がモデルになっている

また、世界最高峰のPGAツアーで多くのトッププレーヤーと契約しているのも強みのひとつだ。数々のメジャー優勝のほか、2011年まだシーズンは始まったばかりだが、マーク・ウイルソンが2勝、バッバ・ワトソンが1勝と、「PGAツアー使用率NO.1」を目指すのではなく、「試合に勝つ!」をテーマに、PING契約の選手たちが大活躍をしている(2011年3月1日現在)。

「PING GOLF」は、活躍した選手たちに敬意を払うため、優勝者と同じゴールドパターを2本作成する。一つは選手に贈呈し、もう一つはゴールドパター専用の蔵があり、そこで大切に保管している。なお、ここにあるゴールドパターは、アンサータイプのパターが一番多く、選手別ではセベ・バレステロスが46勝している。

5代目となるスイングロボット「PING MAN」。手首の動きを再現しており、人間が行うスイングさながらの迫力

そして、第一線で戦うプロのサポートやフィードバックを行うため、敷地内には300ヤードほどの巨大なドライビングレンジがあり、テストセンターの設備は充実している。改良を重ねた5代目の試打ロボット「PING MAN」は、トップでの左肩の入り、コックを使った手首の動きなど、人間が行うスイングに近いシミュレーションを行うことができ、新製品の試打テストに活躍。パターラボには、大理石で土台を作った全長50フィートのスペースがあり、ハイスピードカメラによって徹底的に分析することができる。

と、これだけの人たちと設備が関わって新製品を開発するのだから、多くのファンを持ち、ユーザーから愛用され続けるのもうなづける。(米国アリゾナ州フェニックス/宮田卓磨)

米国アリゾナ州フェニックスにあるPING本社に潜入!
大理石でつくられた全長50フィートあるパタースペース。ハイスピードカメラを駆使して分析を行う
PING本社の敷地内に300ヤードほどの巨大なテストフィールドが広がる