~第1部 前作を超えない限りリリースしない!徹底した商品開発~ 米国PING本社に潜入レポート!
米国でゴルフクラブの売上高トップ3に入る「PING GOLF」。他の売上上位メーカーとは違い、ほぼゴルフクラブの売上で成り立っており、ゴルフクラブに関してユーザーから高い信頼を得ている大手メーカーだ。今回、人気の秘密を探るべく、米国アリゾナ州フェニックスにある「PING GOLF」本社に潜入調査を行った。
「PING GOLF」の創始者カーステン・ソルハイムは、「ピンパター」や「キャビティアイアン」を発明したクラブ開発出身の人物。「前作の製品を超えない限り、新製品はリリースしない」という会社理念は、2011年1月に日本の社長に就任したばかりの3代目ジョン・K・ソルハイムまで引き継がれており、エンジニアの人数が他のメーカーよりも多く、約半世紀にも及ぶ商品開発の知識を元に、今も徹底したモノづくりを行っている。
また、世界最高峰のPGAツアーで多くのトッププレーヤーと契約しているのも強みのひとつだ。数々のメジャー優勝のほか、2011年まだシーズンは始まったばかりだが、マーク・ウイルソンが2勝、バッバ・ワトソンが1勝と、「PGAツアー使用率NO.1」を目指すのではなく、「試合に勝つ!」をテーマに、PING契約の選手たちが大活躍をしている(2011年3月1日現在)。
「PING GOLF」は、活躍した選手たちに敬意を払うため、優勝者と同じゴールドパターを2本作成する。一つは選手に贈呈し、もう一つはゴールドパター専用の蔵があり、そこで大切に保管している。なお、ここにあるゴールドパターは、アンサータイプのパターが一番多く、選手別ではセベ・バレステロスが46勝している。
そして、第一線で戦うプロのサポートやフィードバックを行うため、敷地内には300ヤードほどの巨大なドライビングレンジがあり、テストセンターの設備は充実している。改良を重ねた5代目の試打ロボット「PING MAN」は、トップでの左肩の入り、コックを使った手首の動きなど、人間が行うスイングに近いシミュレーションを行うことができ、新製品の試打テストに活躍。パターラボには、大理石で土台を作った全長50フィートのスペースがあり、ハイスピードカメラによって徹底的に分析することができる。
と、これだけの人たちと設備が関わって新製品を開発するのだから、多くのファンを持ち、ユーザーから愛用され続けるのもうなづける。(米国アリゾナ州フェニックス/宮田卓磨)