2019年 トラベラーズ選手権

ゴルフにドラフトはないけれど…プロデビューしたスター候補たちの船出

2019/06/23 11:52
会見に臨んだ4人の選手たち。将来有望な若手がズラリとそろった

◇米国男子◇トラベラーズ選手権◇TPCリバーハイランズ (コネチカット州)◇6841yd(パー70)

北米プロバスケットボールリーグNBAの30チームが獲得したいアマチュア選手を指名する『NBAドラフト』が20日(木)夜、開催された。八村塁選手(ゴンザガ大)が日本人として初めて一巡目指名を受けたことで日本でも大々的に報じられたが、全米注目の一大イベントは当ゴルフ大会のメディアセンターでもライブで放映された。

米国の国民的スポーツのひとつであるバスケットボールは大規模な市場を持ち、その頂点に立つNBAプレーヤーともなれば巨額の契約金が動く。八村選手もさっそく、世界的な人気を誇るナイキ社の「ジョーダン・ブランド」との契約が発表された。米フォーブス誌が今月公表した2019年版のスポーツ選手の長者番付によると、上位100人のうちNBAプレーヤーは35人を占めた。最高位はレブロン・ジェームス選手の7位だった。

4人が居並ぶ異例の会見

アマチュア世界ランク1位でプロ転向したV.ホブラン

未来のスターたちがきらびやかなスポットライトを浴びた前日、当地では今年プロ転向した若手選手4人―ビクトル・ホブラン(21)、マシュー・ウルフ(20)、コリン・モリカワ(22)、ジャスティン・サー(22)―による記者会見が開かれた。いずれも大学ゴルフで実績を残してきた逸材だ。これまで新進気鋭の選手たちに出場機会を与えてきた大会としても、4人が居並ぶ会見は異例と言える。

早くもジョーダン・スピース(25)やジャスティン・トーマス(26)ら世界ランキング1位を輩出した世代と比較されるが、中でもともにオクラホマ州立大出身のホブランとウルフは今大会がプロデビュー戦となり、注目を集めている。

人懐っこい笑顔が印象的なホブランは2018年、ペブルビーチGLで行われた「全米アマチュア選手権」をノルウェー人として初めて制した。19年の「マスターズ」(32位)でローアマタイトルを獲得。さらに前週、ペブルビーチ開催された「全米オープン」ではアマチュアの大会最少スコアを塗り替える「280」(通算4アンダー)として12位に入り、メジャー2大会連続でローアマを手にした。

プロデビュー戦となるM.ウルフ。スター性を秘めた若手だ

ウルフは、2019年に大学生ゴルファー、アマチュアゴルファーとして最高峰の栄誉とされる「フレッド・ホスキンス・アワード」と「ジャック・ニクラス・アワード」を受賞した。今大会前にはテーラーメイドと用具契約を締結。プロデビュー戦では、かつてロリー・マキロイのエースキャディだったJ.P.フィッツジェラルド氏とタッグを組み、大物ぶりを漂わせている。『GGスイング理論』で知られるプロコーチのジョージ・ガンカス氏に師事し、個性的なスイングから生み出すビッグドライブも魅力のひとつだ。

「世界最高の選手になれる」

ゴルフは個人競技のため、当然ながらチームが競合するドラフトは存在しない。NBAの華やかなセレモニーに比べれば、会見はひっそりと終わり、どれだけのゴルフファンに彼らの声が届いたのかは分からない。それでも、4人の誰もがスターになる可能性を秘めていることは、ライバルとして切磋琢磨してきた彼らが最も理解している。

ウルフは言う。「僕たちは世界最高の選手になれると確信している。そう信じることが何よりも重要だと思っているよ」。ほかの3人も、同調するように言葉を受け継いだ。

ちなみにフォーブス誌の長者番付では、ゴルフ選手5人がトップ100入りした。最高位はタイガー・ウッズの11位で、フィル・ミケルソンの19位、マキロイの32位、ジャスティン・ローズの47位、スピースの52位と続く。そう、4人が選んだスポーツの可能性はどこまでも開かれている。(コネチカット州クロムウェル/塚田達也)

■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール

1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。

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