賞金トップの今平周吾がWGC回避 理由と日本ツアーの課題は?
「日本オープン」が終了し、15日(月)時点の国内ツアー賞金ランキング1位の今平周吾、2位の稲森佑貴に、中国・上海で行われる「WGC HSBCチャンピオンズ」(10月25日開幕)の出場権が付与された。
WGC(世界ゴルフ選手権)シリーズは米国、欧州、アジアンツアーの日程に組み込まれ、賞金総額1000万ドル(約11.2億円)というメジャー大会に次ぐ規模のビッグイベントだ。
だが、今平はWGC出場を回避した。「いま、自分がWGCに出て優勝できるとは思わない。それならば、国内で優勝を目指したい」というのが、その理由だ。賞金王への意識は明言しなかったが、もしWGCの賞金が国内ツアー賞金額に加算されるならば「出ていた」とも語った。
2010年以降、WGCシリーズの賞金は国内ツアーの賞金額に加算されなくなった。同シリーズは予選落ちがなく、また賞金額は国内ツアーの5倍から20倍と差が大きい。出る人と出ない人の間に不公平が発生するほか、国内ツアーとの日程重複もあるから、というのがその経緯と言われている。
はたして、それで良いのだろうか?選手にしてみれば、より大きな舞台、高額賞金大会に出場したいと思うのは当然のこと。もしWGCで優勝すれば、一気にPGAツアーや欧州ツアーの出場権が得られる。たとえ優勝しなくても、岩田寛のように米国下部ウェブドットコムツアーのファイナルシリーズの出場権を得て、PGAツアーへの道が開ける可能性もある。
たとえ国内ツアーの賞金に加算されなくても出たければ出たらいい、と突き放す考えもあるだろう。実際、稲森と、今平の辞退で権利を得た賞金ランク3位の池田勇太はWGCに出場する。
それでも、日本ゴルフ界の発展を考えれば、ツアーの仕組みとして、海外に出やすい環境を作って世界レベルで活躍する選手を増やす、というのも課題のひとつではないだろうか?そもそも、WGCを管轄するのは、世界6大ツアーが加盟する「インターナショナル・フェデレーション・オブ・PGAツアーズ」で、日本ツアーもその一員だ。
より活躍した選手が、より大きな試合に出場する。その1試合で大きな賞金を獲得しようとも、選手自身が自力でつかんだ権利に基づくものであるならば、不公平と言われる筋合いはないはずだ。(編集部・今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka