2018年 全英オープン

カーヌスティを見守る 世界で2番目に古いゴルフショップ

2018/07/25 07:15
カーヌスティGLのすぐ隣。シンプソンゴルフショップは世界で2番目に古いゴルフショップだとか

2018年の「全英オープン」が行われたカーヌスティGLに面したリンクスパレードという通りには、当地をホームコースとし、それぞれが独立するゴルフクラブがいくつも並んでいる。各クラブのハウスが並ぶその中に、カラフルなドーム型の天井を持つ古い店舗がある。「シンプソンゴルフショップ」は現存するゴルフ用品を扱うお店の中で、世界で2番目に古い歴史を持つというグッズショップだ。

屋外にセール品のゴルフウエアを並べていた店の中に入ると、落ち着いたたたずまいの中にところ狭しとゴルフ用品が並んでいる。キャップやベルト、ヘッドカバー、グリーンフォークにボールマーカー。それぞれにもちろん「カーヌスティ」のロゴがあった。奥に進むと、骨董品のような100年ほど前のヒッコリークラブも売られている。1860年に全英の第1回大会を制したウィリー・パークが使っていたパターのレプリカは299ポンド(約4万3720円)。当時の優勝スコアと同じ「174」本の限定品だそうだ。

どのくらい飛ぶかな・・・店内には数十年以上前のクラブも

オープンしたのは1883年。シンプソン一家はゴルフ界では古くから名が知られていた。お店の創始者であるロバート・シンプソンはスコットランド・セントアンドリュースの南、アールズフェリーの出身で、6人きょうだいの5番目。兄のジャック・シンプソンは84年の全英王者。弟のアーチー・シンプソンは2大会で2位に入り、のちに米国でコースデザイナーとして有名になった。

ロバート自身も腕の立つゴルファーであり、クラフトマンであり、そしてコース設計者だった。オールド・トム・モリス(全英オープン4勝)が、今回の全英がまさに行われたカーヌスティのチャンピオンシップコースの改造を1890年ごろにサポートした人物でもある。近隣ゴルフクラブのひとつであるダルハウジーGCに雇われたのをきっかけに、当地に店を出したそうだ。

小さな工房にはヒッコリーのクラブを作る道具もある

11年ぶりの全英開催に伴い、ショップは連日盛況だった。女性店員は「いつも午前中はヒマなのよ。ゆっくりお茶を飲んでいるんだけど。だから今週みたいなのは珍しくて」と笑う。“古いこと”だけに胸を張っているわけでもなく、周辺の欧州の国々や米国とも取引がある。最近ではインターネットショッピングにも力を注ぎ、中国との商売も多くなった。ちなみに現存する最古のゴルフショップは、やはり聖地セントアンドリュースにあるという。

店内には多くのゴルフクラブのネームタグがズラリ

古びた天井を見上げると、キャディバッグにつけるネームタグがズラリ。その数は実に2500に及ぶ。コレクションを進めているうちに、各地のゴルファーが持ってきてくれるそうだ。「また来てね。今度は日本のコースのタグを持ってきてくれたらうれしいわ」。当地を訪れる際には、どうかお忘れなく。(スコットランド・カーヌスティ/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

全英歴代王者のジャック・シンプソンの兄弟が営んだゴルフショップ

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