コース内外で戦ったデシャンボー「ようやくいいゴルフが出来た」
◇米国男子◇バルスパー選手権 2日目(10日)◇イニスブルックリゾート&GCカッパーヘッドC(フロリダ州)◇7340yd(パー71)
初日「67」、2日目「70」の通算5アンダーで8位につけたブライソン・デシャンボーが、6戦ぶりに決勝ラウンドへと駒を進めた。ここ数カ月、コース内外でし烈な戦いを続けてきたが、「何人かが『行け、ブライソン!』と声を掛けてくれるのを聞いた。ちょっぴり(初出場した昨年の)オーガスタのような気分を取り戻せたので良かった」と、久しぶりのコース内での好パフォーマンスを喜んだ。
論争を呼んでいたのは、昨年末から取り入れたサイドサドルパッティング(※)を巡ってのもの。事の発端は、今年1月の「キャリアビルダーチャレンジ」開幕前日に、USGA(全米ゴルフ協会)がデシャンボーの使うパターを非公認であるとしたことだ。サイドサドルのパッティング自体に問題はなかったが、かまぼこ型ヘッドの中心に真っ直ぐシャフトが刺さったパターをUSGAは認めなかった。
翌週の「ファーマーズインシュランスオープン」では、同じヘッドで、後方にシャフトをつけたパター(これは公認)を使ったが、フェースの動きを制御できずに2日間63パットで予選落ち。「イライラする」と憤りを隠さなかった。
それ以降の3試合でも決勝進出を逃すと、2週間前の「ザ・ホンダクラシック」でついに爆発。「なぜ、サイドサドルを辞めたのか?」と聞いた米ゴルフダイジェスト誌の記者に対し、「本質的にUSGAは自分がやったことを好まない。彼らはいい組織じゃない。自分は彼ら(USGA)の家族の一員ではあるけれど、家族として、彼らがゴルフゲームの発展を阻害するのは腹立たしい」と痛烈に批判した。
だが、2日後には自身のツイッターでUSGAに対して謝罪。「メディアの1人に声を掛けられたタイミングが悪く、感情を抑えることができなかった。USGAを尊敬しているし、彼らの家族の一員でいることに感謝している」とつづって事態の収束に取り組んだ。
そんなデシャンボーに素晴らしいニュースが舞い込んできたのは、今大会開幕前の水曜日。糖尿病を患い、2014年から腎臓移植を待っていた父・ジョンさんにドナーが見つかり、ついに移植手術を受けることが出来たのだという。「ついに腎臓が見つかって、今はそのことをもう心配する必要がない。夢のようだよ」と手放しに喜んだ。
事態が好転するときは、すべてを巻き込んでいくのだろうか。好位置で決勝ラウンドを迎えるデシャンボーはいう。「最近いろんなことがあったけど、ようやくいいゴルフをして、いいショットが打てるところまで戻ってこられた。これこそ、この一年間ずっと追い求めてきたことだけど、ようやく出来たよ」。(フロリダ州パームハーバー/今岡涼太)
※カップに対して体を正面に向け、利き手側にパターを構えてボールを打ち出すスタイル。真正面からカップを見られるので距離感を把握しやすい利点がある。
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka