2014年 ファーマーズインシュランスオープン

経験と若さ、ウッズとスピースの好対照

2014/01/25 17:38
今大会7勝を誇るウッズの“経験”と20歳スピースの“若さ”が火花を散らした(Robert Laberge/Getty Images)

ここに1つの記録がある。タイガー・ウッズがトーナメントの前半36ホールを終えて、パー5で1つもバーディ(以上)が奪えなかった試合は、PGAツアーのキャリアにおいてわずかに5回。きょう2日目を終えた「ファーマーズインシュランスオープン」で、その数は「6」になった。

「1ヤード、いや30センチの違いでストレスの溜まるラウンドになってしまった。フェアウェイに落ちても、転がってほんのちょっとラフに入ってしまう。その途端、(ラフが深いので)ピンを狙って積極的にはいけなくなる。それがスコアに現れた」。

ここトーレパインズGCで過去8度の優勝を誇っているウッズだが、ジョーダン・スピースジミー・ウォーカーと同組で回った今年の予選ラウンドでは、通算10アンダーで首位に立ったスピースに対し、ウッズは通算1アンダーの50位タイ。1年前の今大会がプロデビュー戦となった20歳のスピースの前に、“王者”のプライドはズタズタに引き裂かれた。

プレジデンツカップで練習ラウンドは共にしたことのある2人だが、昨年のプレーヤー・オブ・ザ・イヤー(ウッズ)とルーキー・オブ・ザ・イヤー(スピース)が試合で一緒に回るのは初めてのこと。ノースコースで次々と9個のバーディ(ノーボギー)を奪ったスピースについて、「彼は飛距離もあるし、パッティングが素晴らしい」とウッズも賛辞を惜しまなかった。

ここトーレパインズGCのグリーンにはポアナ芝が使われている。日本では「スズメノカタビラ」とも呼ばれるこの芝は、目が強く、さらにその方向も一定ではないのが特徴だ。「ポアナでは、いつもより少し強めにヒットしないとラインから外れてしまう。彼(スピース)は今日、3メートルから6メートルのパットを山ほど沈めていたけれど、ベントならいざしらず、ポアナでそれをやるのは簡単じゃない」。

なぜ、スピースにはそれができたのか? ウッズはそれを“若さ”で説明した。「私はこれまでのキャリアでたくさんの素晴らしい経験もしてきたが、いくつかのミスもしてきた」。彼にはまだ失敗に対する恐れがないし、精神的なブレーキを掛ける経験もないからだ。通算79勝と通算1勝の違いが、この日は逆の結果となって現れたというわけだ。

「ちょっと差がつきすぎたと思うかい?」挑発するような記者会見での質問に、ウッズは間髪を入れず答えた。「いいや、前にもやったことがある」。

1999年大会で、2日目を終えて36位だったウッズは首位に今年と同じく9打差をつけられていた。だが、決勝に入って「62」「65」をマークすると、最終的には2位に2打差をつけて逆転優勝を飾っている。まだ、白旗を揚げてはいない。(カリフォルニア州ラ・ホヤ/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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