速すぎる?超高速グリーンに不満の声
イギリスらしからぬ好天続きの今年の「全英オープン」。練習日までは、夕方になるとグリーン上に水をまくスタッフ達が見られたが、大会初日を前にしてどうやらその作業は行われなかったようだ。
選手たちも敏感にこの違いに反応している。
タイガー・ウッズは言う。「みんながどんな文句を言っていたかは分かるよ。もっとグリーン上に水気があれば問題はないけど、乾くにつれて速くなる。今日、パットしたボールがグリーンから出てしまったこともあった。そんなに悪いパットじゃなかったのにね。1メートルちょっとオーバーしたものは、どこまでも行ってしまう。厳しかったね」。
ポールターは自身のTwitterでこうツイートした。「午後の選手たちは残念ながらいくつかのピンポジションで苦労するだろうね。8番は冗談みたいだし、18番には風車とピエロが必要だ(コンクリートや板の上でやる遊びのパターゴルフのグリーンに見立てて)」。
パット巧者である藤田寛之も「昨日に比べて全く別のグリーンになっていました。カップ周りのショートパットでは、パターのヘッドが滑るくらい水気がない状態。カップ周りがつるんつるんなんで、後半だけで3パットを4回しました」と嘆く。久保谷健一も、「この変え方は嫌ですね。徐々に速くなっていくなら分かるけど、突然ですからね」と憤った。
その声は、すでにR&Aにも届いている。最高責任者であるピーター・ドーソンは「我々は、ご存じのように選手たちのコメントをとても尊重しているし、今夜それについて話し合いをすることになっている。それで、今夜グリーンキーパーが明日のコースをどうセットアップするか決めるだろう。我々はスコアにはとても満足をしている。5アンダーというのは、まさに期待していた数字だ。アンダーパーの選手数もちょうどいい。何人かの選手がとてもフラストレーションを抱えていたのは理解できる。それでも、我々はコースにはとても満足しているし、公平なプレーが可能だと考える。しかし、実際にとてもタフではあるのだが」。
ここで議論となっているのは、“Playable(競技できる)”か、“Fair(公平)”かということ。現時点では明らかに無理というレベルではないが、すぐに選手達が声を上げて、それを主催者が受け入れて対応を変えていく。そのボーダーラインを皆で意見を出し合って決めていくのが、142回の歴史に裏打ちされた「全英オープン」の成熟度だろう。(英国ミュアフィールド/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka