PGA Tour Rookie / Ryo Ishikawa(3) 悩ましき?250ヤード
「ヒュマナチャレンジ クリントンファウンデーション」で米国男子ツアーメンバーとして初戦を戦った石川遼は、14本のクラブセッティングの中で、1本のクラブを予選ラウンドの3日間で毎日入れ替えた。
その1本はドライバー、3番ウッドに次ぐ飛距離を持つクラブ。初日は5番ウッド(X HOT PRO フェアウェイウッド)。2日目はアイアン型のユーティリティ(X UTILITY Prototype アイアン)、そして3日目はウッド型のユーティティ(X HOTユーティリティ)を実戦投入。これに特注の2番アイアン(3番~PWと同じくX FORGEDアイアン)を含めた4本から、250ヤード前後のショットを操ることになる。
ところで、これまで石川がジュニア時代も含めて「ウッド型のユーティリティ」を握ったことは皆無に近かった。プロ転向後、トーナメントで使用したもの同大会の3日目が初めて。今回の新契約をきっかけにテストした結果、即座にGOサインを出した。
「僕の中で、ユーティリティは“ただ易しい”という先入観があった。クラブが易しいことで、良いスイングをできたり、気持ちをリラックスさせてくれる。(ウッド型)ユーティリティはそういう相乗効果が出てくれるクラブだと思う。ただその反面、(今までは)直進性は素晴らしくても、色々なボールを打つのが難しい、(打ち方を変えても)全部同じ打球になってしまうんじゃないかという先入観があった」。
「でも、感覚的に球筋がアイアンのように飛んでくれるユーティリティで、スプーンよりも3番アイアンに近い感じだった。これだったら使える。幅はひろがると思う」と納得し、これまでになかった決断に至った。
とはいえ選択すべきクラブは多くなったが、それゆえ目下、頭の悩ませどころともいえる。“嬉しい誤算”ともいえるのが、ここへきて新しい3番ウッドの飛距離が飛躍的に伸びたこと。「練習場では265~270ヤードくらいかと思っていたら、試合では実測で300ヤードを超えていた時もあった」。その3番ウッドの次の距離を埋めるクラブは?新スイングの構築と並行して、見極めを進めていく必要がある。
米ツアーはもちろん、コースが長い。だが他選手と比較して、石川に飛距離のアドバンテージは無い。だからこそ、選択が重要な1本となりうるかもしれない。
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw