2011年 全米プロゴルフ選手権

“球聖”が過ごしたアトランタ・アスレチッククラブ

2011/08/12 14:03
クラブハウスの中にはボビー・ジョーンズの思い出の品々が並ぶ。写真は1930年に年間グランドスラムを達成した際のカップたち

今季の海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」が11日(木)、開幕した。今大会の会場であるジョージア州のアトランタ・アスレチッククラブは、“球聖”と呼ばれた伝説的ゴルファー、ボビー・ジョーンズと深い関わりを持つコースだ。

1902年にアトランタで生まれたボビー・ジョーンズ(本名ロバート・タイアー・ジョーンズ・ジュニア)は、1930年のグランドスラム(全米オープン、全米アマ、全英オープン、全英アマ)を含め、メジャー通算13勝をマーク。そして何と言ってもマスターズの創始者、オーガスタナショナルGCの設計に携わった人物として広く知られている。

ジョーンズが育ったのが米国男子ツアー「ザ・ツアー選手権」が行われるアトランタ市内のイーストレイクGC。栄光に満ちた日々を送っていたが、長年、背中と首の痛みに苦しんでいた彼は1948年を最後に、現役を引退(数年後には脊髄空洞症と診断を受ける)。だが1960年代後半に、このアスレチッククラブは現在のジョンズクリークに移転し、ジョーンズは亡くなる1971年まで理事長を務めた。クラブハウス前には銅像が建てられ、ハウスの中には年間グランドスラムを達成した際の4つのトロフィーをはじめとした思い出の品々が大切に陳列されており、伝説の一端を垣間見ることができる

アトランタのダウンタウンのはずれにあるジョーンズの墓。お供え物はゴルフボールやティペグなど

ところで今年、同コースでこの全米プロが開催されるのは2001年以来だが、第1ラウンドを終えて今回のセッティングについて選手たちからは疑問の声も上がっている。前回大会よりも全長が254ヤード伸びた7467ヤードは、パー70の設定としてはメジャー史上で最長。同コースで行われた前回の2001年大会で優勝したデビッド・トムズは「すごく長くなってグリーンも違う、フェアウェイバンカーが多く、あまりにタフになった」と前回大会のコースとは“別物”との認識を持っているようだ。

また、当時の大会で2位だったフィル・ミケルソンは4つのパー3のうち、15番の260ヤードをはじめ、200ヤードを超えるホールが3つあることを例に挙げ、いったいどのくらいのゴルファーがこのホールを攻略できるのか、一般的なプレーヤーがまったく攻略の糸口を見つけられないホールが増えることで、ゴルフというスポーツの裾野が狭くなりはしないかを危惧した。

生前のジョーンズは、コースの距離を伸ばして難易度を高めることについて否定的な考えの持ち主だったという。もちろん、近年のコースの長距離化は道具や技術の進化と密接な関係があるが、生涯アマチュアとしてゴルフ界に君臨した球聖は、このプロゴルファー世界一決定戦をどう見ているだろうか。(米ジョージア州ジョンズクリーク/桂川洋一)

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